ここから本文です

性風俗の入り口は「暴力」 辛い過去を持つ少女たち 研究者が語る実情

5/11(木) 5:00配信

沖縄タイムス

 風俗業界で働く女性らを調査する上間陽子琉球大教授の講演会(主催・かりゆしエンターテイメント)が6日、沖縄県那覇市西の県男女共同参画センターてぃるるであり、約160人が集まった。4年かけて16人の女性から聞き取りをして見えたのは家族やパートナーからの暴力。幼いころから誰かに受け止めてもらう経験が乏しく、10代で風俗業界に入っているのも共通した特徴で、上間教授は、子どもたちに寄り添って話に耳を傾ける必要性を訴えた。

 ■出会った少女たち

 調査のきっかけは、集団レイプの被害に遭った中学生が自殺した事件だったという上間教授。性被害や中高生に売春させるケースも後を絶たず、量的な統計調査から漏れがちな、リスクを多く抱える風俗業界の若者たちに着目した。

 そうして出会ったのは、幼少期から性暴力や言葉、態度などさまざまな暴力を繰り返し受けてきた少女たち。ある女性は、14歳の時に集団レイプの被害に遭い、その後、「恐怖に負けなかった」と思おうとして性行動を繰り返したという。別の女性は16歳のころからパートナーのDVを受け、ストレスから妊娠7カ月で早産に。保健師や看護師らの支援を受けながら、キャバクラで働いて生計を立て、子育てと学業を両立させていたという。

 ■見えてきた暴力

 小学6年生で性被害のような形で初体験し、14歳から劣悪な風俗店で働いた女性、母親のネグレクト(育児放棄)で、わずか4歳で1歳の弟の面倒を見させられていた女性もいた。

 上間教授は「県の貧困対策でしっかり考えなければいけないのは、特に暴力」と指摘。「(県は)ゆいまーるを喚起しているが、そんなに簡単ではない。調査を通して関わっているケースでも、聞き取りや少女たちの変化には数年かかっている」と説明した。

 ■「子の話に耳を」

 とりわけ心配なのは「誰にも相談できず、早くから男性とつながり、セックスによってつながる方法しか持たない子」という。幼いころから虐げられていると、誰にも手を差し伸べてもらえないと考えざるを得なくなるため、解決策を示されても拒否してしまうことが少なくないという。

 そのため上間教授は、支援者自身の考えを排除して「その子の感じ方や望みを聞き取ることが一番大事」と強調。「(支援者にとって)わずかな変化に見えても、その子の望みがかなうことは、その子にとって最大級の変化になり、次につながる。悪いのは子どもに性的な行動をさせている社会や大人なので、支援者は早急に道徳的な判断をしないでほしい」と呼び掛けた。

 上間教授は調査結果を「裸足(はだし)で逃げる」(太田出版)と題した本にまとめ、2月に出版している。

最終更新:5/11(木) 18:00
沖縄タイムス