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社説[韓国大統領に文氏]改革断行し未来像示せ

5/11(木) 7:35配信

沖縄タイムス

 韓国大統領選で革新系最大野党「共に民主党」の文(ムン)在寅(ジェイン)候補が圧勝し、9年ぶりに革新政権が誕生した。

 朴(パク)槿恵(クネ)前大統領を罷免に追い込んだ巨大な国民運動が押し上げた大統領である。

 朴氏の失脚に伴う選挙戦で、文氏が頻繁に使った言葉は「積弊清算」。不正や癒着、腐敗といった長年の弊害を取り払うとの訴えだ。

 親友に機密資料を提供した朴氏の政治スキャンダル発覚後、その退陣を求めソウル中心部の広場には毎週のように国民がろうそくを掲げ集まった。主催者発表で最大170万人が参加した「ろうそく集会」で示されたのが積弊への怒りだった。

 文氏は、この民意を念頭に今度こそ韓国政治が引きずる「政経癒着」などの悪弊にメスを入れてもらいたい。

 文氏は大統領就任の演説で「私を支持しなかった人にも仕える」と述べ、イデオロギーを超えた国民統合を強調した。

 前大統領の弾劾、激しい選挙戦で保革の対立が深まり、社会に亀裂が生じているが、新大統領を支える「共に民主党」は国会では少数与党である。

 長引く政治の混乱は、経済や外交へも影響を及ぼしている。財閥に富が集中し、若者は就職難にあえぐなど格差の問題も深刻だ。

 民意の巨大なうねりは、成果が出せなかった時の反動も大きく、期待はすぐに失望へと変わるだろう。

 国政の立て直しは待ったなしの急務である。 

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 過去に南北首脳会談を行った金(キム)大中(デジュン)、盧(ノ)武鉉(ムヒョン)政権の流れをくむ文氏は北朝鮮との関係改善に前向きで、「条件が整うなら平壌にも行く」と述べている。核ミサイル問題を巡っては、6カ国協議の再開を提唱しており、核放棄の協議に応じた時点で南北経済協力事業を再開すると表明している。

 北朝鮮に融和的とされる文氏だが、今の状況の中でまず必要なのはトランプ米政権との政策のすりあわせだろう。

 これまで日米韓は、北朝鮮の脅威に対処するため核放棄の確約なしに対話はないと足並みをそろえてきた。

 国際社会では日米韓に中国も加わって、弾道ミサイル発射実験を繰り返す北朝鮮への圧力を強めている。

 北朝鮮包囲網にほころびが生じないよう、文氏には日米中などの関係国と協調しながら外交努力による緊張緩和を図ってほしい。

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 日本との関係で焦点となるのは慰安婦問題に関する日韓合意で、文氏は「再交渉などを通じ、国民が納得できる合意」を主張している。

 政府間交渉による合意を一方的に破棄すれば、日韓関係は一気に冷え込むが、韓国内に合意に対する反発があることも確かである。

 日韓合意の際、安倍晋三首相は「心からのおわびと反省」を表明した。合意を前提に、元慰安婦の立場に立って着地点を模索してもらいたい。

 日韓関係の修復は双方の国民感情が絡んでいるだけに、慎重の上にも慎重な配慮が必要である。

最終更新:5/11(木) 7:40
沖縄タイムス