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矛盾だらけのトランプ政策、ドル高阻止で飛び火も-渡辺元財務官

Bloomberg 5/11(木) 0:00配信

大規模な景気刺激策と貿易赤字の縮小を同時に掲げつつ、低金利政策の継続とドル安を望むトランプ米政権。元財務官の渡辺博史国際通貨研究所理事長は、矛盾に満ちた米政策ミックスは「アメリカワースト」をもたらし、日本銀行の金融緩和にも悪影響を及ぼしかねないとみている。

「経済が伸びてインフレが徐々に出て来て、なおかつ金利を上げない選択肢があり得るのか。どこかを諦めるしかない」。渡辺氏は10日のインタビューで、米政策の問題点をこう指摘。輸出の大幅増がすぐには見込めない中で、貿易収支を改善するために「輸入を減らせば、需要供給曲線から言うとモノの値段が上がる。ドルが高くなれば輸入物価の上昇を抑えられるが、ドルを安くしろと大統領が仰るわけだ」と述べた。

矛盾する政策目標を追求した結果、インフレが加速すれば「米国の消費者にはろくな事にならない。アメリカファースト(米国第一)ではなくアメリカワーストになるだけだ」。「受益するのはせいぜい数千万人の下の方」にすぎない半面、インフレは「3億数千万人の全てに効く。実感するのに半年程度かかる。米国人が諦めるのは構わないが、他国には迷惑だ」と苦言を呈した。

米下院は4日、医療保険制度改革(オバマケア)代替法案を僅差で可決し、審議は上院に移った。トランプ政権は同法案が景気刺激策の財源確保にもつながると期待している。景気が計画通りに良くなれば、金利上昇につながる可能性もある。

イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長ら米国の金融当局の高官の多くは利上げを進めることに前向きだが、トランプ大統領は米WSJ紙に先月、「低金利政策」が望ましいと発言。また、貿易赤字の縮小を掲げ、国内の雇用改善と産業を守るために、日本などとの通商協定に取り組む構えを鮮明にしている。

米国の対日貿易赤字は3月に約9年ぶりの水準に拡大した。ロス米商務長官は知日派とされるが、4日の声明で日本をメキシコとともに名指しで懸念を表明。米国際貿易委員会(ITC)は翌日、日本などからの輸入鋼板が適正水準を下回る価格で販売されていると認定し、米商務省が制裁関税を課す見通しとなった。米商務長官は後に、他国の通貨がドルに対して安過ぎることが問題との見解を示している。

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最終更新:5/11(木) 15:26

Bloomberg