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言葉の壁と機会損失の解消。インバウンド需要を捉えるTravelTechとは

ZUU online 5/12(金) 12:10配信

文化や習慣は各国固有のもので、テクノロジーが入り込んで最適化が図られる余地は薄い。そんな先入観を持っている人も多いかもしれない。しかし、モバイルアプリやデータを活用し、文化的な障壁を解消することでビジネスに活かそうとする動きもみられる。

その例がトラベルテック(TravelTech)と呼ばれる、訪日外国人客へのサービスの提供や観光旅行の円滑化にテクノロジーを活用しようという試みだ。いわゆるインバウンド需要やインバウンド消費の分野におけるテクノロジー活用で、さまざまな特徴的な取り組みが登場してきている。

■訪日外国人と日本人の言語の壁の突破に挑戦する「Payke」

訪日外国人の困り事と聞いてすぐに想像できるのは、やはり言葉の壁ではないだろうか。もちろんこれまでも観光業、小売業をはじめとするサービス提供者側は、オンラインや店舗上で訪日外国人への情報提供を図ってきた。しかし快適な旅行体験を得るためにはまだまだ多くの障害が残っている。

こうした背景から、大手テクノロジー企業の翻訳機能への取り組みも活発化してきている。Googleがスマートフォンのカメラを活用したリアルタイムの翻訳アプリをリリースし、大きな話題になったことは記憶に新しい。また、NTTコミュニケーションズも観光業者などを対象とした、ウェブ翻訳サービスの提供を行っている。

そうした言語の壁の突破に、ユニークな方法で挑戦する企業の一つが株式会社Payke(Payke社)だ。社名と同じく「Payke」と名付けたアプリを通じて商品の情報を訪日外国人に伝えるサービスを立ち上げ、運営しているスタートアップである。

Paykeは訪日外国人にとって理解しにくい地場の特産品の情報を理解する手がかりを、アプリを通じて提供している。具体的には、訪日外国人客がスマートフォンやタブレットのアプリを使って商品のバーコードをスキャンすれば、自身の母語で解説を読める仕組みだ。

Payke社はこのアプリを提供するために、商品ごとのストーリーをデータベース化。アレルギーやハラルなどの情報も提示が可能になるという。Paykeは2015年の10月にサービスを開始し、創業地である沖縄だけではなく、東京、福岡、北海道にも進出しており、化粧品・医薬品メーカーでは大手でも導入する企業が出てきているという。

■購入金額、購入個数ともに30%超の増加を示したPaykeの実証実験

Payke社はすでに、訪日外国人客を対象とした実証実験を実施している。実験のスキームは大手企業とスタートアップによるオープンイノベーションそのものであり、Payke社自身の他に、NTTデータ経営研究所とNTTデータの3社が連携して行ったという。

実験の成果は大きなものとなったようだ。3社は協力の下で、沖縄県のリゾート地の一つである瀬長島ウミカジテラスの中の「47STORE」でPaykeを実際に活用。実証実験の期間中に、Paykeを活用した訪日外国人は約200人だった。Paykeの実証実験を行っていなかった期間と比べ、Paykeを実際に使ってみた外国人客の決済額が36%の増加を示し、購入個数も34%の増加となったという。

店舗にとっては、訪日外国人客からの売上が3割伸びる結果が示された。一見して分かりづらかったパッケージなどが機会損失を生んでいたということでもある。訪日外国人客が商品の情報を母語で理解する手助けをすることで、訴求力が大幅に強化できるということだ。

従来テクノロジーが応用されていなかった領域に対し、ユーザー目線で技術を実装していき実成果を産み出すという観点で「考え方はFinTechと同じ」とも報告されている。

これまでにFinTechの他にも、EdTech、HealthTechなどの概念が取り沙汰されてきたが、今後T TravelTechもまだ進化していく可能性を秘めているといえそうだ。
(提供:MUFG Innovation Hub)

最終更新:5/12(金) 12:10

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