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ジャニーズきっての主演作数 岡田准一と映画の“相思相愛”

日刊ゲンダイDIGITAL 5/12(金) 9:26配信

コラム【大高宏雄の「日本映画界」最前線】

 映画界のゴールデンウイークは盛況だった。昨年実績を上回るシネコンが続出した。牽引したのは、「美女と野獣」や「名探偵コナン から紅の恋歌」だ。ただ、お馴染みの作品ばかりで、実のところ意外性はない。

 そのGW最終盤に公開されたのが「追憶」である。主演の岡田准一(36)は、ジャニーズ事務所所属の俳優、タレントの中でもっとも主演作品が多く、映画と非常に相性がいい。「無限の住人」で不死身の侍が様になっていたキムタクは意外に作品自体が少ない。

「追憶」は監督・降旗康男、撮影・木村大作と大御所2人が話題になったが、筆者がとくに注目したのは青島武と瀧本智行が担当した原案・脚本だ。過去と現在を結ぶサスペンスという体裁をもちつつ、いまの時代が抱える多くの社会的な問題が浮き彫りになる劇構造だった。

 DV、孤児、不況、不倫などが描かれ、過去から現在、犯罪はそれらの問題が複雑に絡み合って生み出される。刑事役の岡田は、犯罪解明に特殊な才能を持ったスーパーヒーローではない。大きな秘密があるとはいえ、市井の人という設定だ。

 この岡田の役柄造形が、脚本の主眼のひとつだったと思う。いくつもの悩みと、ある疑念を抱きながら、犯罪捜査に邁進していく彼のひたむきで懸命な姿、その先にある安らぎの境地こそ、映画が静かに描こうとしていた主題なのであった。

 岡田は、正月に「海賊とよばれた男」が公開され、夏には「関ヶ原」と大作が続くが、「追憶」もとても大事な作品になった。俳優とは、市井の人物を演じる中で一層の磨きがかかる面もある。その人物造形も大切に思う。さらなる飛躍を期待する。
(映画ジャーナリスト・大高宏雄)

最終更新:5/12(金) 9:26

日刊ゲンダイDIGITAL