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稀勢の里、恩師の化粧まわしを締められなかったワケ 影を落とす親方と先代未亡人の確執

夕刊フジ 5/12(金) 16:56配信

 【稀勢の里 3連覇を阻む壁】

 いま日本で最もファンに愛されている力士といえば、間違いなく稀勢の里だ。今月6日に都内のホテルで開かれた横綱昇進披露宴にも1500人もの関係者が詰めかけ、会場内は押すな押すなの大盛況だった。

 会場入り口には、真新しい3本組の化粧まわしも4セット飾られていた。横綱に昇進した直後の稀勢の里は“土俵の鬼”と呼ばれた元横綱初代若乃花の、鬼をデザインした化粧まわしを借りて締めた。急な昇進で間に合わなかったのだ。これについてはこんな気になる話がある。

 稀勢の里に力士としての基礎をたたき込んだのは、先代師匠の元鳴戸親方(元横綱隆の里)。6年前に亡くなっているが、もし生きていれば誰よりも稀勢の里の横綱昇進を喜んだに違いない。もちろん初めての土俵入りでも、かつて自分が締めていた化粧回しを引っ張り出して締めさせたはず。それがこの世界の“親孝行”だからだ。

 稀勢の里が横綱に昇進した直後、関係者がそんな先代師匠の意をおもんばかって、かつて稀勢の里らが「おかみさん」と呼んだ先代の未亡人に化粧まわしの借用を申しこんだ。ところが、なんとケンもほろろに断られたという。

 というのも、先代の未亡人と、当初の後継者の田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)との関係は部屋経営をめぐってこじれきったまま。先代師匠が亡くなって2年後の4年前には、ついに田子ノ浦親方がそれまで借りていた「鳴戸」の名跡を返却。稀勢の里ら12人の弟子を引き連れて千葉県松戸市の部屋を出て、新しく「田子ノ浦部屋」を設立した。この直後、けんか別れぶりを先代未亡人はスポーツ新聞に次のように話した。

 「昼間、突然トラックが来て(部屋から力士たちの)荷物を運びだしていきました。どこに転居したかも知らず、一言のあいさつもありませんでした」

 稀勢の里も、この田子ノ浦親方一派とみられているのは確かだ。そのことは、横綱昇進披露宴の席にも先代の未亡人の姿が見えなかったことでもわかる。「力士は孤独であれ」と先代師匠は教えたが、こういう孤独や対立がこの先の厳しい闘いに暗い影を落とさなければいいが…。 (大見信昭)

最終更新:5/12(金) 16:56

夕刊フジ