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アフリカのジンバブエで日本米作り 和歌山・御坊の男性がまいた“交流の種”みのる

産経新聞 5/12(金) 7:55配信

 アフリカの南部のジンバブエで、日本米の技術が小さな実を結んでいる。首都・ハラレでも少し離れると貧しい地域となり、履物も食べ物もないような中で住民たちは暮らしているという。「この人たちに日本米が広がったら、おもしろいのではないか」。ジンバブエの厳しい現状が、御坊市に住む男性の心を動かした。そして今春、待望の米が少量ながら収穫された。(菊池昭光)

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 男性は、米国やフランスなどで合気道を展開する熊野塾道場(新宮市、須川勉道場長)の塾生で県職員の楠本光(あきら)さん(49)。

 昨年7月、ハラレに住んでいる日本人の友人に会いに渡航した際、その貧しさに驚いたという。「履物も、食べ物も何もない」。主食はトウモロコシを粉にして蒸した物。日本産のトウモロコシのような甘さはなく、豆をゆでたスープと一緒に食べていた。

 楠本さんの実家は農家で、両親から引き継いだ約6千平方メートルの果樹園で甘夏を、約4千平方メートルの水田で米をそれぞれ栽培している。その経験から、「土質は混ぜ合わせて練れば水田ができる。気候は乾期と雨期はあるが、日本と似ている。米作に合っているのではないか」と直感が働いた。水も引けるし、何よりも高地に広がる見渡す限りの平野に魅力を感じたという。その機会はまもなくやってきた。

 熊野塾が昨年11月、ハラレに道場を開設するため、須川道場長に同行。日本人の友人と、現地でトマト農家を営むジョエル・マリオさん(31)の3人で10平方メートルの土地に日本米をまいてみた。

 「(最初だから)たぶん、うまくいかないだろう」と思って帰国。友人を介してメールで農業指導もしたが、期待はしていなかった。

 しかし3月、「お米が収穫できた」というメールが写真とともに送られてきた。総収穫量は2升で日本の半分強ほど。無農薬で手作業のためロスが多いということを考慮すると大成功だった。「現地のジョエルさんが非常に熱心に育てたそうです」。実際に食べた友人によると、味も良かったという。

 種籾ができたことで、今年はさらに広げて挑戦するつもりだ。「トラクター1台でもあれば、いいのですが…」。楠本さんは「私一人では小さくても、いろいろな人の協力を得て大きくしていきたい」と呼びかけている。

最終更新:5/12(金) 7:55

産経新聞