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東京五輪 都外仮設、都が全額負担 小池氏、切り札不発

産経新聞 5/12(金) 7:55配信

 ■3知事、直談判で政府主導感 決着に時間、自民都議批判

 2020年東京五輪・パラリンピックの経費分担問題で、東京都の小池百合子知事は11日、安倍晋三首相と官邸で会談し、都が都外の競技会場の仮設整備費を原則として全額負担する意向を伝えた。会談後、報道陣の取材に「ホストシティーとしての役割を担う」と答えた。今後、都と組織委員会、国の3者協議で最終的な調整を行う。

 組織委の試算では都外11会場の仮設整備費は計438億円。その後に決まった野球・ソフトボールを含めると、500億円前後に上るとみられる。小池氏は財源については「これから都で精査する」と述べた。

 小池氏によると、会談ではセキュリティーやドーピング対策について国が負担することを再確認。パラリンピックの運営費用についても一定負担を求めた。同日の都議会特別委員会では小池氏と対立する自民党が協議の遅さや説明不足を批判し、攻勢を強めた。

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 ◆「想像以上に複雑」

 「事務的に非常に煩雑、複雑、金額もはることを一つずつ精査しながらここまで時間がかかった」。安倍晋三首相との会談後、小池氏はこう釈明した。

 大会組織委員会が昨年12月、大会招致時の原則で組織委負担の仮設整備費2800億円のうち2千億円の負担を都などに要請。国際オリンピック委員会(IOC)と結んだ開催都市契約書では組織委が資金不足になった場合、都や国が補償することになっており、小池氏は組織委と国との3者協議で3月末までに分担の大枠を示す意向を表明した。

 しかし、そのための課題整理に3者と自治体で立ち上げた作業チームの協議が難航。自治体側は「仮設は組織委、無理なら都が負担」との原則論を訴え、会場を五輪仕様にするための仮設整備のレベルをめぐっても「そこまで必要か」などと反発した。

 会場の使用期間など課題は多岐にわたり、小池氏は10日のテレビ番組で「想像したよりも複雑だった」。こうした膠着(こうちゃく)状態を動かす切り札が、都外会場の仮設整備費の全額負担だった。

 ◆都議選前の見せ場

 11日の小池氏と首相との会談は5月の大型連休前に決まっていたとされ、「負担表明に向け準備を進めていた」(知事側近)。小池氏にとって都議選前の見せ場になるはずだった。

 その潮目が変わったのは9日夜。神奈川、千葉、埼玉の3県知事が官邸に乗り込んだことだった。「非常事態です。費用負担を早く決めてもらわないと五輪を成功に導けない」。3知事側が菅義偉官房長官に訴えると、菅氏は「総理もお目にかかりたいと話している」と即座に首相に取り次いだ。首相はその場で丸川珠代五輪相に調整に入るよう指示し、結果的に政府主導で懸案が解決した印象が残った。

 「総理が大臣に指示を出し、そこから事態が動いた」。11日の都議会特別委で質疑に立った自民の川松真一朗都議はこう強調した。今年に入ってから3者協議の首脳会談が開かれていないとする答弁を引き出した上で、「小池氏が先頭に立って全力でお願い、説得する責任があるのに動いてこなかった」と訴えた。

 川松氏は仮設整備費負担の財源を確保するには議会の議決が必要なのに事前に説明がなかったとし、「情報公開、都民ファーストの観点からブラックボックス」と指摘。金額が確定していないことをめぐり「分からないのに全部持つと約束した。ワイズ・スペンディング(賢い支出)なのか」と語るなど、小池氏が多用するフレーズを使いながら持論を展開した。

 持ち時間の2時間半の大半を割いて、小池氏による五輪準備について批判を繰り返した。委員会室では小池氏と対立し、今期限りで議員を引退する自民党の重鎮、内田茂氏が傍聴する姿があった。

 一方、共産党都議団は11日、「知事は全額負担の意向を撤回すべきで、国が財政的にも開催国としての責任を果たすべきだ」とする団長コメントを発表した。

最終更新:5/12(金) 8:17

産経新聞