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山口組再分裂「組長置かず平等」で指定逃れか 暴対法の要件満たさぬ恐れ

産経新聞 5/12(金) 7:55配信

 指定暴力団神戸山口組(兵庫県淡路市)から離脱したグループが4月30日、新組織「任侠団体山口組」の結成を表明した。警察当局は分裂でなく内部対立状態とみて、今後も暴力団対策法上の規制の対象になるとしている。しかし、暴対法上の指定暴力団とする必要性が将来生じた場合に、新組織は指定を免れる組織形態になっているとの指摘が上がっている。警察当局は慎重な対応を迫られそうだ。(尾島正洋)

 神戸山口組は平成27年8月、指定暴力団山口組(神戸市)から分裂して発足。さらに再分裂で新組織が結成されたため「山口組」を名乗るのは3組織となり、新たな対立抗争事件が危惧されている。警察庁の坂口正芳長官は11日の定例会見で、「警戒、取り締まりを徹底し、(再分裂の)動向の情報収集に努め情勢に応じ必要な措置を取る」との考えを示した。

 暴力団を暴対法上指定する場合、「組長をトップに階層的な組織形態となっている」といった3要件が必要だ。しかし、新組織は先月30日に異例の会見を開き、「(暴力団特有の)盃事はしない」「組長は空席、代表制」「皆が平等、支え合い助け合う」などと表明。暴力団特有の縦組織ではなく、横並びで平等であることを強調した。

 暴力団対策に詳しい別所司弁護士は、代表者が「対外的に意思表示する機関にすぎない」といった場合や、組織形態が「構成員が平等で相互に支え合う互助会的、組合的」であれば構成要件を満たすかどうかの判断は難しいと指摘する。

 さらに別所弁護士によると、暴対法上の「使用者責任」に影響が出る可能性もあるという。同法では、対立抗争事件などが原因の損害賠償義務が生じれば、実行犯だけでなく組長らトップにも責任が及ぶと規定されている。使用者責任の適用には組織の末端まで直接指揮監督できる地位にあることが必要とされ、新組織が「組合的、互助会的」と認定せざるを得ない場合、使用者責任も問えない可能性があるという。

 警察庁幹部は「一部のグループは流動的。現状では内部対立状態で、今後も神戸山口組の一部として暴対法上の規制の対象になる」としている。別所弁護士は「新組織を現状のまま暴対法上の規制対象とするとしても、新たに指定暴力団とするとしても、警察は訴訟リスクに耐えられる証拠を整える必要がある」と話している。

最終更新:5/12(金) 9:58

産経新聞