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<改憲論議>自民「憲法族」板挟み

毎日新聞 5/12(金) 21:59配信

 自民党内で与野党協調型の憲法改正論議を担ってきた「憲法族」が苦境に立っている。2020年の改正憲法施行を目指し、改憲案の早期策定を迫る安倍晋三首相と、「期限を切るべきではない」と反発する野党の板挟みとなっているためだ。12日の党憲法改正推進本部(保岡興治本部長)の幹部会では、首相側近から「高村正彦副総裁に権限を一本化してはどうか」と露骨な発言も飛び出した。

 「党総裁の並々ならぬ決意、大いなる期待を重く受け止め、憲法改正原案を具体化する議論を加速し、深めていきたい」

 保岡氏は推進本部の会合で、早期の議論とりまとめに意欲を示した。一方、推進本部メンバーを兼ねる衆院憲法審査会の中谷元・与党筆頭幹事は11日の幹事懇談会で、首相発言について「自民党向けで、(20年施行に)縛られるものではない」と述べ、野党への配慮をにじませた。

 憲法族は与野党協調を重視し、国論を二分しかねない9条改正は「2回目の国民投票以降の課題とする」との姿勢だった。現在もこの路線を維持する構えだが、党執行部では「推進本部では議論が遅い」との声が続出。改正案策定を幹事長室を中心とする「新たな組織」で行う案をちらつかせ、自民主導での改憲を進めるよう迫る圧力が強まっている。憲法族は党内と党外で発言を切り替えざるを得ない状況だ。

 本部幹部会で高村氏への一本化に言及したのは、柴山昌彦首相補佐官。保岡氏を前に「高村氏が公明党の北側一雄副代表と与党間で調整するのがいい」と提案した。高村氏は安全保障関連法や天皇陛下の退位に関する特例法案の与党協議を担った経験があり、北側氏と太いパイプを持っているのが念頭にある。

 露骨な発言には保岡氏も不快感を示し、「本部長抜きに話を進めるのはどうか」と反発。憲法族の一人も「急がば回れ(で与野党協調した方が改憲が早まること)がどうして分からないのか」と怒りをぶちまけた。07年成立の国民投票法では第1次政権当時の首相発言が要因で与野党協議が停滞した経緯を踏まえ、船田元・推進本部長代行も記者団に「首相の気持ちは分からなくもないが、やはり国会の議論に一定の期限を切るのは望ましくない」と苦言を呈した。

 ただ、与野党協調路線に首相が見切りをつければ、秋にも予定される党役員人事で推進本部から憲法族が外されかねない。憲法族からも、同本部のもとに9条や教育無償化などに特化して議論を加速するため小委員会を設置する「妥協案」が浮上している。【小田中大、村尾哲】

最終更新:5/13(土) 10:32

毎日新聞