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「パワハラなくしたい」会社の不正を掲示板に書き込んだら「名誉毀損」になる?

5/12(金) 9:45配信

弁護士ドットコム

パワハラや不正の横行する会社環境を良くしようと、解決策を求めてネット掲示板に書き込みをしたところ、会社から、名誉毀損で訴えると言われたーー。弁護士ドットコムの法律相談コーナーに、悲痛な投稿が寄せられた。

投稿者は、会社の不正に対してどう対応すればいいのか分からず、掲示板に数回書き込みをしていたところ、社の人間によるものだと勘付かれてしまったという。投稿者は、「今は書き込みは消しており閲覧はできなくなっていますが、証拠は保存してあり会社側は持っています。書き込んだことは反省していますし謝って許してもらえるならと思っています」という。

会社は証拠を隠蔽しようとしており、犯人を探して名誉毀損で刑事告訴をすると主張しているそうだ。このような場合、投稿者は名誉毀損で法的な責任を問われるのだろうか。影島広泰弁護士に聞いた。

●名誉毀損になるのか?

「対象となった者の『社会的評価』を低下させる言論のことを名誉毀損といいます。本件では、パワハラや不正の事実を書き込んだことにより、会社の社会的評価は低下したと思われますので、これに当たると考えられます」

では、相談者も「名誉毀損」をしたとして法的な責任を負うことになるのか。

「そうとは限りません。書き込みが、次の条件を満たせば、違法な名誉毀損にはならないからです。

(1)公共の利害に関する事実であり、

(2)目的がもっぱら公益を図ることにあり、

(3)内容が真実であるか、または真実であると信じたことが相当である

本件では、目的が私怨を晴らすためなどではなく公益を図ることにあったのか、内容が真実であるか、あるいは真実であると信じたことが相当であったのかが争点となります。これらが認められれば、法的な責任を負うことはありません」

●服務規程違反で懲戒処分を受ける可能性もある

しかし、影島弁護士は続けて「懲戒処分」の可能性を指摘する。

「仮に名誉毀損に当たらないとしても、会社内部の情報を外部に公開したことは、守秘義務や会社の信用を毀損しない義務などの服務規定に違反するとして、懲戒処分を受ける可能性があります。

会社の不正などを正すという目的は正しくても、それを誰でも見ることができる掲示板に書き込むという手段に出ることは、法的責任を問われたり懲戒処分を受けたりするリスクがあります。掲示板に書き込むではなく、信頼できる専門家に相談すべきでしょう」

【取材協力弁護士】
影島 広泰(かげしま・ひろやす)弁護士
影島 広泰 (かげしま・ひろやす)弁護士
03年弁護士登録。ITシステム・ソフトウェアの開発・運用に関する案件、情報管理や利活用、ネット上の紛争案件等に従事。日本経済新聞の2016年「企業法務・弁護士調査」情報管理部門の「企業が選ぶ弁護士ランキング」2位。
事務所名:牛島総合法律事務所
事務所URL:http://www.ushijima-law.gr.jp/

弁護士ドットコムニュース編集部