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「巡礼代行します」─カトリック聖地ファティマまで、30万円から

5/12(金) 9:16配信

AFPBB News

(c)AFPBB News

【5月12日 AFP】ポルトガルのカトリック教徒、カルロス・ジル(Carlos Gil)さん(52)は、知る人ぞ知る「巡礼代行人」だ。

 ジルさんは同国中部にある聖地ファティマ(Fatima)まで、他人の名の下に巡礼する。病気や多忙といった理由、あるいは単に自分で行くのが面倒くさいという人に代わって、聖なる歩みを請け負うのだ。代行料金は2500ユーロ(約30万円)。

 ファティマではちょうど1世紀前の1917年、3人の幼い羊飼いが聖母マリアの姿を目にしたとされる。13日には聖母出現から100年を記念して、ローマ・カトリック教会のフランシスコ(Francis)法王が同地を訪れ、聖母の目撃者とされる2人を列聖することになっている。記念祭には、ジルさんを含め100万人近いカトリック教徒が集結するとみられている。

 ただ実際に歩いて巡礼し、しかもその料金を請求する巡礼者はほぼ間違いなくジルさんだけだろう。

 ジルさんは巡礼の旅に出る前、自宅でAFPの取材に応じ、「お金を稼ぐためではなく、他者への奉仕」であり、「われわれと神との契約だ」と語った。

■ろうそく奉納や祈祷はオプション料金

 代行の基本料金は2500ユーロだが、オプションとしてろうそく奉納には25ユーロ(約3000円)、祈祷(きとう)には250ユーロ(約3万円)の追加料金がかかる。

 さらに特別料金を払えば、聖地の広場から聖母の出現地とされる礼拝堂まで、最後の400メートルをひざまづいてお参りしてもらうこともできるという。

 ジルさんにとって巡礼は、「情熱の行為」なのだという。「私はカトリック教徒だが、サウジアラビアに生まれていればきっとイスラム教徒になってメッカ(Mecca)を巡礼していただろう」

 ジルさんは幹線道路から遠く外れた田舎道を選んで6日間歩き、法王の来訪前日に聖地入りする。夜は民家に泊めてもらったり野宿したりして200キロの道のりを踏破する予定だ。

 ジルさんの頭にこの「奇抜なアイデア」がひらめいたのは、2001年のことだった。中世には裕福な貴族が、時間がない、体調が悪いといった理由で巡礼代行人を雇っており、「この古くからの伝統を復活」させるべきではないかと思い付いたという。

 とはいえカトリックでは、巡礼代行に対価を支払うことを認めておらず、代行はほとんどの場合秘密裏に行われている。これに対しイスラム教の大巡礼「ハッジ(Hajj)」では、代行はより一般的に行われている。

 ローマ・カトリック教会の「ファティマの予言」運動によると、聖地まで歩いてたどり着き、フランシスコ法王に一目会おうという信者が4万人を超えるとみられている。

■「いかさま」との批判も

 ジルさんは、「年に2~3回の巡礼」を行っており、「毎回必ず1人だけのため」だとしている。

 依頼主は全員ポルトガル語話者で、ジルさんのウェブサイト経由で連絡を取る。条件が合えば、依頼主が料金を振り込み、ジルさんがそれを受け取る。巡礼を終えると、ルート上の公式スタンプの押印を受けた証明書を依頼主に送付する。

 しかしジルさんの巡礼代行業に対しては、ソーシャルメディア上で「猛烈な批判」が集まっている。ジルさんは、「人は時に非常に攻撃的になる。私のことを知りもしないで」と嘆く。

 今回の巡礼は誰のために行っているのだろうか? ジルさんは多くは語らず、スマートフォン用のメッセンジャーアプリ「ワッツアップ(WhatsApp)」を通じてコンタクトがあった女性とだけ明かしている。

 ジルさんは「先入観にとらわれたくないので、原則として依頼の理由は聞かないことにしている」と語った。4月7日、5月5日撮影。(c)AFPBB News

最終更新:5/12(金) 9:16
AFPBB News

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