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DV加害者更生へ支援団体 米国などのプログラム採用 長崎県内初16日に設立総会

長崎新聞 5/12(金) 9:53配信

 ドメスティックバイオレンス(DV)の加害男性への更生を促すプログラムを実施する民間団体が今月中旬、長崎県内で初めて発足することが、11日分かった。国内のDV対策はこれまで被害女性の保護に重点が置かれており、加害男性の支援は効果が疑問視され諸外国に比べ立ち遅れている。支援団体は東京、大阪、神奈川などにあり、九州では熊本に続き2例目とみられる。

 DV被害者支援に取り組む長崎市のNPO法人「DV防止ながさき」(中田慶子理事長)のメンバーや臨床心理士、精神保健福祉士、弁護士ら約20人が中心となり、16日に設立総会を開く。2015年12月から勉強会や研修会を開き、支援スタッフの育成など準備を進めており、今後、更生プログラムの内容や料金など詳細を詰め、本年度内に活動を始める予定。被害女性からの相談も受け付ける。

 採用するプログラムは米国やカナダなどの支援先進国で開発され、カナダでは裁判所が加害者に受講を義務付けている州もあるという。本県では受講希望者が週1回2時間、スタッフとの面談や当事者同士で話し合う「グループワーク」を通じ、配偶者やパートナーに暴力を振るわないで接する方法を学ぶ。これを半年間続ける予定。

 発足する民間団体メンバーの一人、不登校や引きこもりの若者支援をする長崎市のNPO法人「心澄(しんじょう)」の宮本鷹明理事長は「以前から加害者向けの更生プログラムの必要性を感じていた。全ての男性に興味を持ってもらい、暴力のない生活を送ってもらいたい」と話す。

 県によると、長崎、佐世保両市の県こども・女性・障害者支援センターに寄せられるDV相談は増加傾向にあり、15年度は前年度より96件多い1782件。県警のDV相談受理件数も01年から毎年増えており、16年は過去最多の354件だった。

 DV加害者の更生に向け本県で発足する民間団体が実施するプログラムについて、専門家は加害者の心の安定と被害者の安全確保の両面で「有効」と指摘する。

 東京の心理相談機関「原宿カウンセリングセンター」では2004年のプログラム開始以降、延べ約130人が受講。加害者はスタッフとの面談や当事者同士の話し合いを重ねるうちに、暴力や感情的な言動を抑えられるようになるという。センターの信田さよ子所長は「暴力を振るっている自覚がない人でも徐々に効果が得られる」と話す。

 一方、熊本DVアプローチ研究会「り・まっぷ」では、11年の活動開始から5年間で20~50代の計20人が受講したが、半数は途中でやめた。受講に強制力はなく、本人の意欲を継続させるのも難しい。担当者は「プログラム参加を義務付けるような法整備が必要ではないか」と強調する。

 長崎市のNPO法人「DV防止ながさき」の中田慶子理事長は「更生プログラムを通じ、幸せな人生を送れるよう支援したい」と話している。

長崎新聞社

最終更新:5/12(金) 9:53

長崎新聞