ここから本文です

車産業大転換期、トヨタはグーグルなど新勢力との戦いにどう挑むのか

5/12(金) 14:34配信

日刊工業新聞電子版

欧州は営業赤字、等身大の実力

 トヨタ自動車が新たな“成長”の道筋を模索している。組織の巨大化による構造的な問題に加え、自動車市場に続々と押し寄せる米グーグル、米ウーバー・テクノロジーズといった“ゲームチェンジャー”との戦いも控える。自動車産業の大転換期に、トヨタはどのような成長戦略を描くのか。

 トヨタが発表した2017年3月期連結決算(米国会計基準)は売上高27兆5971億円(前期比2・8%減)、営業利益1兆9943億円(同30・1%減)で減収減益。グループ世界販売台数は1025万台と過去最高を達成したが、円高や諸経費の増加などが影響し日本、北米、アジア、その他地域がこぞって営業減益。欧州は営業赤字に転落した。

 都内で会見した豊田章男社長は「為替の追い風も向かい風もない中で、まさに現在の等身大の実力が素直に表れたものだ」と語った。売上高、各利益段階とも過去最高を記録した16年3月期決算と比べると業績は見劣りするが、営業利益で2兆円に迫る実力がトヨタの等身大といえる。

 豊田社長は「意志ある踊り場」「年輪的成長」と、将来に向けた基盤固めや着実に成長する会社の姿を表現してきた。巨大企業となり、以前のように大きく成長する局面ではなく足踏み状態だが、「いずれは伸ばしていかなければならない」(トヨタ首脳)。機動力向上のため16年4月にカンパニー制を導入し、「仕事の進め方改革」にも着手した。

 18年3月期決算は想定為替レートを足元より円高方向にみていることもあり減収減益予想だが、永田理副社長は「これが実力と思うと大変悔しい」と成長への渇望を隠さない。13年度に自動車メーカー初の年間販売台数1000万台を突破し、「道なき道を進んでいる」(同)。誰かの背中を追うのではなく、自ら未来を切り開かねばならないトヨタが意識するのは“仲間づくり”だ。

 世界初の市販燃料電池車(FCV)では15年1月に単独保有する約5680件の燃料電池関連特許実施権の無償提供を発表。技術の標準化や規格づくりなどで他社との連携が欠かせないためだ。

 15年5月にマツダと包括的業務提携で基本合意。17年2月にはスズキと業務提携の検討開始で合意した。マツダとは電動車両とコネクテッドカー(つながる車)で具体的協業の検討に入っている。

 16年8月にトヨタの完全子会社となったダイハツ工業は、25年度にダイハツ開発車のグローバル生産台数を15年度に比べ約100万台増の250万台に定めた。ダイハツの三井正則社長は「生産は両社の持つ既存の事業体を有効活用する」とし、東南アジア諸国連合(ASEAN)を中心に市場拡大を見込む新興国需要を取り込む戦略。連携を深化させ、成長軌道を描く。

1/2ページ