ここから本文です

新世代の風----チョリッチがマレーを、ズベレフがベルディヒを破る [マドリッド/男子テニス]

THE TENNIS DAILY 5/12(金) 17:03配信

 スペイン・マドリッドで開催されている「ムトゥア マドリッド・オープン」(ATP1000/5月7~14日/賞金総額543万9350ユーロ/クレーコート)は、5月10日がトップ選手たちが苦しんだ“厄日“だったとしたら、11日は、ここ12年口の端に昇っているニュージェネレーション----新世代たちが新風を吹き込んだ一日だった。

錦織はフェレールを倒し、ジョコビッチと対決へ「大きなチャレンジ」 [ムトゥア マドリッド・オープン]

 もっとも、この日、一番の呼びものになるはずだった新旧対決、ラファエル・ナダル(スペイン/30歳)対ニック・キリオス(オーストラリア/22歳)は、期待されたほど熱いバトルにはならなかった。前日よりも格段にプレーレベルを上げたナダルが、声をあげながら気迫のこもったボールを打ち込んでいく中、ときにひょうひょうとボールを裁いていくキリオスの抵抗は、あまりに軽すぎて、断続的すぎた。

 結局、キリオスは早い段階で許したブレークを巻き返すことができず、ナダルが6-3 6-1で勝利。4月末に、ポルトガル・エストリル(ATP250)出場の準備をしているときに祖父の不幸の知らせを受け、葬儀に出席するためオーストラリアに帰国してから、とんぼ返りしてきたというキリオスは、おそらく心身とも疲労してたのだろう。

 しかし、それをおいても、この日のナダルはミスも少なく、彼のクレーでのギアはラウンドを追うごとに上がってきているように見える。

 反対に大きな驚きを生んだのが、予選決勝で敗れ、ラッキールーザーとして出場を遂げた59位の20歳、ボルナ・チョリッチ(クロアチア)が、トップシードのアンディ・マレー(イギリス)を6-3 6-3で下した試合である。マレーが本来の調子ではなかったとはいえ、チョリッチは堅固なストロークで長いラリーにもち込み、チャンスでは叩く堅実なプレーでストレート勝ちをおさめた。

 故障からの復帰以来、まだ本来の調子に戻れていない様子のマレーだが、この試合後には、「出だしはまだよかったが、リードされてしまってから自分のプレーレベルを上げたり、相手にとってことをより難しくするための方法を見出すことができなかった。ラリーの早い段階でミスをおかし、同じようなことを繰り返していた。プレーを築いていくことがまったくできていなかったんだ」と、とりわけ自分に対し批判的だった。

 2週前のバルセロナ(ATP500/クレーコート)では、やはり新世代のドミニク・ティーム(オーストリア)に敗れていたマレーは、「負けること自体が、常に最悪というわけではない。しかし、どんなふうに負けるかということは、ときに心配や失望の種となる。例えばバルセロナでのティームに対する敗戦では、負けはしたが自分がよく戦ったと感じた。試合中にいくつかのいいプレーをし、流れを逆転させ、彼を苦しめることができていた」と言った。

「ところが今日は、そういったことが何もできなかった。これは心配すべき点だ。なぜなのか、どんな対策がとれるのか、考えてみなければならない」

 一方、大会史上初の準々決勝に進出したラッキールーザーとなったチョリッチは、「特に変わったことをしたわけじゃない。とにかくしっかりボールを返し、長いラリーで彼にミスをさせようとした。言うまでもなく、今日の彼はあまりいいプレーをしていなかった。試合のごく出だしでそう感じたよ。だからとにかく長いラリーをし、どうなるか見てみようと思った」と話した。

 その上でチョリッチは、「もちろん、これは大きな勝利だ。テニスにおいて非常に重要な“自信“という意味で、僕にとってすごく大きな意味を持つ。自信は、僕のテニスにおいて非常に大きな役割を演じるんだ」と言う。

 チョリッチは、まだ10代だった2014年にナダルを、2015年にマレーを倒して名を挙げた早咲きの選手だったが、その後、故障や手術などをくぐり抜け、やや厳しい時期を経験していた。

 その一連の出来事を振り返り、チョリッチは「人生にはアップダウンがあるのだということを学んだ。ただ上がり続けるなんてことはできないものさ」と言う。

「僕はすごく若いときにいい成績を挙げた。当時、僕の期待するのものはすごく高かったんだが、たぶんそれは現実的ではなかった」とチョリッチは回顧する。「32位だったとき、僕には32位の実力がなかったのだと思う。あの頃の僕のテニスは、本当は60位か70位くらいのレベルだった。でも幸運なことに、僕はツアーでは新顔で、誰も僕のことを知らなかった。運もよかった。でもそれは僕の本当のレベルじゃなかったんだ」。

 ジョコビッチに可愛がられ、面倒を見てもらっているという彼は、「僕らは友達なんだ。僕がツアーをまわるようになってから、彼はアドバイスをくれたり、いろいろ助けてくれている。いっしょに練習することも多かったんだよ。今でも親しく、よく話をしている」のだと明かす。

 チョリッチは準々決勝で、やはり新世代の代表とみなされている、23歳で第8シードのティームと対戦する。3回戦で第12シードのグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)と対戦したティームは、ファイナルセットのタイブレークで、一時3-6とマッチポイントを握られながら、攻撃の姿勢を貫き、冷静さを保って巻き返し、結局4-6 6-4 7-6(9)で勝利をつかんだ。

 最後に、このところ見せている勢いと成績を鑑みれば、必ずしも驚きではないとはいえ、やはり20歳のアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)が第11シードのトマーシュ・ベルディヒ(チェコ)を6-4 6-4で破り、ベスト8に進出した。ズベレフは2回戦で第7シードのマリン・チリッチ(クロアチア)も倒している。

 ウィナーの数がベルディヒの「14」に対し「13」、アンフォーストエラーの数はベルディヒの「19」よりも多い「21」だったにも関わらず、勝ったことが見せる通り、大事な局面でポイントをつかむ勝負強さを見せたズベレフ。「今日は素晴らしい試合ができた。昨日もチリッチを倒した試合でいいプレーをしたが、1回戦(対フェルナンド・ベルダスコ)もよかった。準々決勝に進めてうれしいよ」と、貫禄さえ感じさせる落ち着いた口調で満足感を表現した。

 ズベレフは準々決勝で、ブノワ・ペール(フランス)を7-5 0-6 6-1で下したパブロ・クエバス(ウルグアイ)と対戦する。

(テニスマガジン/ライター◎木村かや子)

Photo: MADRID, SPAIN - MAY 11: Borna Coric of Croatia in action against Andy Murray of Great Britain after his straight sets win during day six of the Mutua Madrid Open tennis at La Caja Magica on May 11, 2017 in Madrid, Spain. (Photo by Julian Finney/Getty Images)

最終更新:5/12(金) 17:03

THE TENNIS DAILY