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軽の燃費王者「ミライース」、それでも新型はゼロベースで考え直した

ニュースイッチ 5/12(金) 12:27配信

開発者が語る「第3のエコカー」への深化

【ダイハツ工業 車両開発本部製品企画部第1企画グループエグゼクティブチーフエンジニア 南出洋志氏】

 新型ミライースは深化した「第3のエコカー」だ。初代ミライースはハイブリッド車(HV)同等の低燃費を、HVの半分の価格で実現した。新型は初代の低燃費・低価格という特徴をキープしつつ、安全装備充実で安心感を高めたほか、エンジン制御見直しで加速性能を向上して走り出しの力不足感を解消した。2色一体成型インパネは、彫り込みの多いデザインで収納を増やし、質感も向上。新型で、軽自動車本来の魅力を顧客に届ける。

 初代はガソリン車トップ(2011年発売当時)の低燃費・低価格を武器に、HV、電気自動車に次ぐ「第3のエコカー」市場を開拓した。モデルライフは6年。この間、競合他社がガソリン1リットル当たり37キロメートルの低燃費軽自動車などを投入。新型で競合を超えようという議論もあったが、商品要件探索チームが全国を駆け巡った結果、安全や走り、質感といった「+α」の魅力が必要と判断した。

 開発は15年末にスタート。ミライースの役割や価値がどうあるべきか、ゼロベースで考え直した。新型は同35・2キロメートルの低燃費に加え、安心・安全に使え、生活も良くするパートナー、そんな車でないといけない。ミライース購入層は比較的年配の方が多い一方、ビジネス用途が2割ほどあり、Bグレードは荷物積み下ろしに便利な装備も備えている。

 衝突回避支援システムは、最新で高機能な「スマートアシストIII」を採用した。同システムに加え、前後4個のコーナーセンサーで、後退時や駐車時に障害物へ接近した場合もメーター内表示とブザー音で運転者に知らせる。

 エンジン制御の見直しで発進加速や追い越し加速性能を高め、スムーズでストレスのない、気持ちよい走りに仕上げた。ノイズや振動低減で室内会話明瞭度は3%向上し、しなやかに衝撃を吸収する足回りで乗り心地も良い。新開発シートや室内配置見直しで頭上空間はゆとりがあり、ドライビングポジションは視界が広く、大人4人が広々と乗れる。

 走り・使い勝手・質感の充実と、低燃費・低価格両立のため、重量は初代から最大80キログラム減の650キログラムからと大幅軽量化した。軽量高剛性ボディー、足回り軽量化、樹脂パーツ採用拡大など。軽量樹脂バックドアは内製化でコスト低減した。

 シャープなラインと彫り深い顔の外観で、力強さと安心感を表現している。入り口価格は80万円台でミライースの世界を広げたい。

【記者の目】
 初代ミライースを起点に軽自動車業界は燃費競争が激化した。常に指標とされた同車のフルモデルチェンジはハードルが高い。低燃費・低価格と、安全・走り・質感充実という相反する特徴の両立は、小さな車づくりにこだわるダイハツだからこそできた。今後、新型ミライースをベースに進む新設計思想「DNGA」プラットフォームの開発にも注目したい。
(日刊工業新聞大阪支社・松中康雄)

最終更新:5/12(金) 12:27

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