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米大麻産業の苦悩─急成長遂げるも依然「完全な現金商売」

5/12(金) 16:08配信

AFPBB News

(c)AFPBB News

【5月12日 AFP】米国では、大麻(マリフアナ)産業が活況を呈している。だが起業家らが、収益管理に当たろうとして気付き始めたことがある──それはこの完全な現金商売が、物流・警備・業務運営面で大きな問題を抱えている実態だ。

 大麻は同国の29州で医療用、8州で嗜好(しこう)品としての使用がそれぞれ合法化されているが、連邦法下では依然違法薬物として扱われている。

 このため大半の銀行が業界との関わりを拒否。その結果、全米の業者が現金のみでの取引を余儀なくされ、厳重に警備された「裏部屋」に大枚を保管し、輸送中も決して目立たないよう注意を払っている。

 大麻推進派の中心的存在で、カリフォルニア(California)州の医療用大麻販売会社「ハーバーサイド(Harborside)」の創業者でもあるスティーブ・ディアンジェロ(Steve DeAngelo)氏は、「非常に深刻な問題だ」と訴えている。

 またカリフォルニア州北部、同国最大の大麻生産地域である「エメラルド・トライアングル(Emerald Triangle)」で大麻栽培に当たるジャスティン・カルビノ(Justin Calvino)氏は、生産者も同じ問題を抱えていると述べ、自分を含む起業家にとって、ほぼ現金限定での商売以外に選択肢はないのだと不満を口にした。

■先行き不透明

 米格付け大手スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)によると、国内に約1万2000近くある金融機関のうち、大麻業界と水面下で取引があるのは主に地方銀行や協同組織などわずか300にすぎないという。

 中小企業は取引に応じてくれる銀行やオンライン金融機関を徐々に見つけられるようになってはいるが、いつ何時停止されてもおかしくないという危険性を背負っている。

 バラク・オバマ(Barack Obama)前政権は、大麻関連の連邦法施行には概して消極的だったものの、2014年には大麻が合法化されている州においては、金融機関に大麻業者との取引を許可した。

 一方ドナルド・トランプ(Donald Trump)現政権では、ジェフ・セッションズ(Jeff Sessions)司法長官が大麻合法化への反対を表明していることもあり、現状を維持するのか、あるいは大麻産業の取り締まりを強化するのか、いまだ不透明だ。

■厳重な警備

 このように先行きが見通せないがゆえに、生産者や起業家の多くが可能な限り現金取引に頼っており、そのリスクは誰の目にも明らかだ。

 上述のカルビノ氏は、従業員の一人に「ベッドの下から4万ドル(約450万円)を持ち逃げされ、本当に痛い目を見た」と明かした。

 またハーバーサイドでは、同社のどの建物に入るのも、同国の金銀塊保管所があるフォートノックス(Fort Knox)を来訪するかのようだ。写真付き身分証明書と警備員によるチェックを受けなければ、中に入ることはできない。

 ディアンジェロ氏によると、「防犯カメラは約50台設置している。従業員には認証用の指紋採取を義務付けており、入場時には読み取り機に指紋をかざして通らなければならない」という。

 同社従業員は金庫室内で、手作業で慎重に現金を数える。オークランド(Oakland)市への納税も、毎月10万ドル(約1120万円)前後を現金輸送している。

 とはいえ業界の専門家らは、変化は確実に起こりつつあるとみている。

 大麻ビジネス投資・調査大手、アークビュー・グループ(Arcview Group)共同創設者のトロイ・デイトン(Troy Dayton)氏は、急成長する業界が数十億ドル規模に達するにつれ、連邦政府も銀行も、もはや黙殺してはいられないと指摘。

「大麻産業はいずれあまりに大きくなり、銀行もいちかばちか飛び込んでリスクを負わざるを得なくなるだろう」と話している。映像はカリフォルニア州北部で大麻栽培に当たるジャスティン・カルビノ氏。4月20日撮影。(c)AFPBB News

最終更新:5/12(金) 16:08
AFPBB News

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