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退職時に数千万円、米公務員の未消化病気休暇が問題に

ウォール・ストリート・ジャーナル 5/12(金) 10:52配信

 米マサチューセッツ州のコミュニティーカレッジの学長が今年3月に引退した際、退職年金のほかに26万6060ドル(約3000万円)の一時金を受け取った。これは46年間のキャリアで使い残した病気休暇1250日分に相当するという。

 ペンシルベニア州では、昨年10月に引退した州警察幹部が、未消化の病気休暇242日分を合算して14万2315ドルを受け取った。フロリダ州では4万5000人の職員に対する病気休暇の払戻金として計1億5400万ドルを支払う予定だ。

 公務員の病欠未消化分への払戻金は、各州が直面する年金や医療費の膨大なコストほどには関心を集めていない。しかし実際には、州や地方自治体の苦しい財政を一段と圧迫している。複数の州で納税者や議員から、巨額の払戻金への激しい憤りや方針転換を求める声が上がっている。

 マサチューセッツ州議会のコリーン・ガリー下院議員(民主党)は、年収10万ドル以上の公務員に対して病欠払戻金を廃止すべきだと訴える。「私に言わせれば、それは欲張りというものだ」

 一方、公務員の支援団体は、多額の払戻金はおおむね警察官や消防隊員、一部の幹部職員に限られ、それ以外の大半の退職者はささやかな額を受け取るだけだと反論する。

 ただ民間企業では、そうした補償はめったに行われず、労働者の3分の1以上は有給の病気休暇すらないと、アリゾナ州立大学モリソン公共政策研究所のトム・ライリー所長は指摘する。

 「民間企業と公務員の間に驚くべき巨大な格差が生じているようだ」とライリー氏は話す。「何らかのバランスを図る必要があるだろう」

 全国規模でこうした払戻金の範囲やコストを数値化するのは難しい。州や町、郡によって支払う基準はまちまちだからだ。ライリー氏は2014年に米国で人口の多い140の都市や郡を調査し、このうち77%には病欠未消化分の累積日数に上限がなく、たいていは退職時に換金されることがわかった。

 自治体は病欠払戻金を予算に組み入れていない場合が多く、永年勤続者が何人も退職すると多額の臨時出費が発生する可能性がある。

 ニュージャージー州は2010年、新規採用の自治体職員や学校職員に対して、病欠払戻金の上限を1万5000ドルと定めた。同年、この上限を全職員に拡大する法案が提出されたが、同州のクリス・クリスティー知事(共和党)は拒否した。上限よりも、この特権を全面的に廃止すべきだと主張したのだ。

 現在、同州議会は上限案と廃止案をめぐって審議を続けている。今週8日、クリスティー知事は譲歩に前向きな姿勢を示した。そして、警官と消防隊員への病欠払戻金の上限として現時点の累積残高または7500ドルのいずれか高い方とすることを勧告した。

 病欠の未消化分を別の方法で補償している州もある。例えば、テキサス州とテネシー州は病気休暇を使って退職日を先延ばしすることを認めている。ウエストバージニア州とウィスコンシン州では、申請すれば未消化分を医療保険に上積みすることが可能だ。

By Kate King

最終更新:5/12(金) 10:52

ウォール・ストリート・ジャーナル