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佐々木クリスに聞く、Bリーグチャンピオンシップの楽しみ方

5/12(金) 10:20配信

バスケットボールキング

Bリーグは2016年9月下旬から約7カ月間にわたって行われたレギュラーシーズンが終了し、これからは栃木ブレックス、アルバルク東京、千葉ジェッツ、川崎ブレイブサンダース、三遠ネオフェニックス、サンロッカーズ渋谷、シーホース三河、琉球ゴールデンキングスの8チームによる初代王者を決める戦い「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2016-17」が開催される。かつて千葉ジェッツ、東京サンレーヴスに所属し、現在はバスケットボール解説者・NBAアナリストとして活躍する元プロバスケットボール選手の佐々木クリスに、CSの楽しみ方、注目選手などをうかがった。

インタビュー=酒井伸
写真=Bリーグ

――Bリーグ初のチャンピオンシップが5月13日に幕を開けますが、大会の注目ポイントを教えてください。
佐々木 各チーム、各選手がCSにピークを合わせてくるので、選手たちのベストパフォーマンスが見ることができますし、選手たちの夢とプライドが詰まった熱い戦いが繰り広げられると思います。バスケットボールはゴール2つを挟んで、ボールが行き来するだけのスポーツに見えますが、そのコート上には目に見えないドラマもたくさんあって、選手たちの努力や苦労などがギュッと凝縮されています。

――5月27日のファイナルは地上波で生放送されます。バスケットボールをあまり見ない人に向けて、観戦ポイントや見てほしいところはありますか?
佐々木 どのチームも意気込みが強くなるので、1つのシュートミスが勝敗を分けることも多く、重たく張りつめた空気になると思います。そういう時に起きる、ターンオーバー(オフェンスのミスによって攻守が入れ替わること)の1つや、フィフティフィフティのボールがどちらのチームに渡るかということが大きなターニングポイントになると思います。また、初めてバスケットボールを見る人は「どうして今のシュートは入ったの? 入らなかったの?」と思うこともあるかもしれません。入った、入らなかったではなく、「相手にどうボールを取られた」、「宙に舞ってるボールや床に弾んでるボールに誰が1番早く反応した」ということを見ると、各チームのその日の勢いなどがわかると思います。

――ゴールに至るまでのプロセスという観点はどうでしょうか?
佐々木 そこはある程度バスケットボールの目を持っていないと難しいので、その過程ではなく、ルーズボール争いやターンオーバー争いなどのポイントだけを見ると、わかりやすいと思います。

――バスケットボールの難しいルールはありますか?
佐々木 シュートが最高到達点から下降し始めたら、オフェンス側もディフェンス側も触ってはいけない『ゴールテンディング』というルールです。それについて、「ディフェンスがシュートをブロックしたのになんで2点入ったの?」と聞かれることがあります。あとはフリースローです。2本のフリースローを得た時、2本目のシュートを外して、それを味方またはディフェンス側が触ってティップインしたら、それは2点になります。フリースローの1点じゃなく2点になるということはわかりにくいと思います。

――バスケットボールは時間に関するルールも多い競技です。
佐々木 初めて見る人にとって、ゴール下のペイントエリアにオフェンス側の選手が3秒以上とどまってはいけない『3秒ルール』は「今のは何で笛が鳴ったの?」と思うことがあるかもしれません。

――CSをより楽しむためにレギュラーシーズンの成績などで見ておくとタメになることはありますか?
佐々木 自分は『TFT』と言って、「3ポイントシュート」、「フリースロー」、「ターンオーバー」の数字を常にチェックしています。3ポイントシュートはチームに3点が加わるので、2点よりも1.5倍分の価値があります。バスケットボールは攻撃権を争う競技で、3ポイントシュートは今のバスケットボールで最も重要なポイントの1つに挙げられます。自分のお気に入りのチームがどのくらい3ポイントシュートを放って、どのくらいの確率で決めているのか調べておくと面白いと思います。

――フリースローについてはいかがですか?
佐々木 フリースロー数はチームがどれくらいアグレッシブにアタックしているかがわかる数字だと思います。ゲームの中で多くのファウルを受け、ボーナススローになる時が増えれば、フリースロー数も自然に増えていきます。フリースローはバスケットボールの中で1番効率の良いシュートなので、当然、多ければ多いほど良いですよね。

――ターンオーバーはより少ない方が良いということですね。
佐々木 はい。ターンオーバーが多かったら、いくら3ポイントシュートを決めても意味がありません。また、もう少し踏みこんで試合を見たいという人は、リバウンドの数に注目することをおすすめします。ただ、相手がシュートを外せば、リバウンドの数が自然と多くなるので、リバウンドの数だけが試合の支配率につながるわけではないんです。なかなか難しいと思う人は『TFT』から見ておくといいと思います。

――佐々木さんが注目しているチームを教えてください。
佐々木 どのチームにも注目していますが、早々にCS進出を決めた栃木ブレックス、アルバルク東京、川崎ブレイブサンダース、シーホース三河の4チームは優勝の可能性が高いと感じています。また、栃木と川崎は主力の大半がここ3シーズンずっと一緒にプレーしているので、まだたくさんの引き出しがあると思います。ある試合後にトーマス・ウィスマンヘッドコーチと話す機会があったのですが、「今日の戦術はすごく効果的でしたが、なぜもっと使わなかったのですか?」と聞いたら、「むしろ使い過ぎたぐらいです」という返答があったんです。なので、隠している戦術もたくさんあったと思います。それ以外では、千葉ジェッツに注目しています。年始のオールジャパンを制したことで、トーナメントでの戦い方を自分たちの成功体験として得ているので、すごく大きな自信になっていると思います。上位枠で進んできたチームやチーム力に差がある相手に対して、それを跳ね返すだけの勢いを作れています。

――CSではレギュラーシーズンの60試合で出していない戦術、戦い方などが見られるチャンスでもあるのですね。
佐々木 そうですね。そういう意味でも開幕からほぼ同じメンバーを中心に戦っている三河、栃木、川崎は面白いと思います。あとは、クォーターファイナルとセミファイナルは2試合だけ(1勝1敗の場合は2試合目の後に5分の前後半を実施)なので、お互いがどのようにスカウティングしていくか注目です。「こんな対策をしているんだ」と知ることができたら、より楽しめると思います。

――佐々木さんの注目選手を教えてください。
佐々木 川崎の辻直人選手はすごく期待しています。日本人選手の中で彼のようなコートビジョンとシュート力を持ち合わせた選手はなかなかいませんし、彼のピック&ロールがチームのカギを握ると思っています。また、シューターでありながら、日本屈指のパスセンスがあり、ゲームの主導権を握れる選手です。

――辻選手と同じポジションの田中大貴選手(A東京)も日本を代表する選手です。
佐々木 田中選手はA東京で一番注目しています。2月に行われたイラン代表との強化試合も素晴らしい活躍を見せましたし、ディフェンスファーストではトップレベルの選手です。今季はOQT(FIBA男子リオデジャネイロ・オリンピック世界最終予選)のメンバーに漏れたことで、より自分の能力を伸ばすことを意識して戦ったと思うので、すごく楽しみな選手です。

――NBAを経験した田臥勇太選手(栃木)をどのように見ていますか?
佐々木 田臥選手は数字に表れない活躍をしてくれる選手です。日本最高峰のポイントガードでありながら、チームだけでなくリーグ全体をけん引する“お父さん的”選手だと思っています。栃木の中では若手の台頭を挙げたいです。田臥選手やライアン・ロシター選手、古川孝敏選手といったここ最近のコアメンバーだけでなく、遠藤祐亮選手などがMVP級の活躍をした時は恐ろしいチームになると思います。

――青山学院大学の後輩でもある比江島慎選手(三河)はいかがですか?
佐々木 三河は比江島選手以外に、橋本竜馬選手や金丸晃輔選手にも注目しています。その中でもやはり、試合で“比江島スイッチ”が入るかということと、橋本選手が彼らしくプレーできるかがカギだと思います。また、40歳の桜木ジェイアール選手の状態も試合を左右する要素です。

――富樫勇樹選手(千葉)は次世代を担うプレーヤーとして期待されていますが、彼はどのようなところが優れていますか?
佐々木 辻選手とタイプが違いますが、ピック&ロールがうまい。ガードの選手が得点でき、3ポイントシュートも打てないと、ピック&ロールが活かされないので、富樫選手のプレーは世界への突破口の1つになると思います。今の中高生が富樫選手や辻選手のようなプレーヤーを見て、世界レベルの選手に育ってほしいですし、彼らにはどんどんチャレンジしてほしいと思います。

――最後に佐々木さんが予想するBリーグ初代王者を教えてください。
佐々木 ファイナルは一発勝負なので、なかなか難しいですね……。クォーターファイナル、セミファイナル、ファイナルのそれぞれに照準を当てて、良い状態で試合に臨めるチームが勝つと思います。トーナメントの組み合わせ次第ですが、優勝は栃木で、対抗は川崎と三河を予想します。千葉は“ダークホース”的な存在として躍進することもあると思います。しかし、どのチームにも可能性はあるので、拮抗した好ゲームが繰り広げられることを期待しています。

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