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ボランティア支え「称名寺薪能」20年 横浜市金沢区

5/12(金) 14:57配信

カナロコ by 神奈川新聞

 区民ボランティアが企画運営を担い、横浜市金沢区で開かれる「称名寺薪能」が今月3日の公演で20回目を迎えた。ライトアップされた境内の橋を背景にする風情も好評で、区の恒例行事として定着。伝統芸能継承の場にもなっている。

 強かった風は開演前に弱まり、申し分のない天気となった。節目の回の演目は、地元に伝わる能「六浦(むつら)」。第1回から出演し、区内でセミナーの指導に当たるシテ方金春流・櫻間右陣さん(55)が「30回、50回にも出演したい」と意欲を見せ、会場を沸かせた。野村萬斎さんが狂言「朝比奈」を演じた。

 10人ほどの区民が実行委員会を構成し、手弁当で企画運営に当たるのも特徴だ。委員長の赤澤幹子さん(66)は「多くの人の協力と観客の感謝の言葉を原動力に、金沢区ゆかりの能を今まで続けることができた」と感慨深げに語る。

 初回は1998年。区制50周年のプレ事業の一環として開かれた。今では、1300席の9割を占める前売り券が即完売することもあるほどの人気を博す。

 手伝うボランティアは、近くの金沢文庫にちなんで「ふみくらの仲間たち」と呼ばれる。会場設営、観客誘導、案内、警備などに100人以上が参加。六浦に登場する境内のカエデの木は、植木業者が無償で手入れをしている。

 薪能の開催を契機に発足した謡と仕舞の市民グループは毎回、火入れ前に区にゆかりある演目を披露。2004年に結成された子どもたちの団体も、前座で地元の能「放下僧(ほうかそう)」の謡を連吟してきた。ここでの出演をきっかけに本格的に謡を学ぶ若者も出てきた。

 赤澤さんは「若い担い手も増えている。地元に愛着が持てるような行事として、一層育っていければ」と期待を寄せる。