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子供に「アート体験」を 富山県美術館・オノマトペの屋上

5/12(金) 23:44配信

北日本新聞

■佐藤さん(グラフィックデザイナー)内藤さん(建築家)が解説

 富山県美術館(富山市木場町)の屋上庭園「オノマトペの屋上」は、4月29日に利用が始まって以来、連日親子連れらでにぎわっている。人気の秘密は、県内有数の眺望に加え、他の公園には見られない珍しい遊具の数々だ。擬音・擬態語が基になっているというデザインには、美術館ならではの狙いやこだわりがある。オープン初日に開かれた記念講演と鼎談(ていだん)で、屋上庭園をデザインしたグラフィックデザイナーの佐藤卓さん(東京)と、新美術館を設計した建築家の内藤廣さん(同)が思いを語った。 (文化部・米沢慎一郎)

 「オノマトペの屋上」は3階建ての上(約3800平方メートル)に設けられた。オノマトペはフランス語で擬音語や擬態語の意味を指し、「うとうと」や「ぼこぼこ」などの名称が付いた8タイプの遊具が並ぶ。新美術館の入館者は、3月25日の部分オープンから1カ月後に10万人に達した。4月29日に屋上庭園が開園すると入場者が加速的に増え、2週間足らずの5月8日に20万人を超えた。

 記念講演で佐藤さんは、新美術館の建設前は公園で、跳びはねて楽しむ「ふわふわドーム」があったと説明。Eテレの「にほんごであそぼ」を長く手掛けていることもあり、「ふわふわ」がオノマトペであることに着目。「新たな遊具もオノマトペから考えることを思いついた」と語った。

 ガムや牛乳のパッケージなどで知られる著名デザイナーは、屋上庭園にもつながるデザインの考え方も披露。「与えられた環境の中に素晴らしい価値がある」と述べた。表面が滑らかなオブジェのような遊具は、紙やすりで削ったことを説明し、「子供は手抜きに気付く。本気でつくることが大事」と話した。

 屋上庭園でもマイクを握り、「遊んでみて思ったことから、別の名前を付けてほしい。ハンモックのある『うとうと』も、子供にとっては『わくわく』かもしれない」と語った。自ら感じたことを表現する「アート体験」をしてもらいたいとの狙いがある。

 記念鼎談に佐藤さん、石井隆一知事と一緒に出席した内藤さんは、「アートとデザインをつなぐ」という新美術館のコンセプトの具現化とともに、「遊び場を残す」との課題をクリアすることが「大きなテーマだった」と振り返った。

 各階に役割を持たせつつ、つながりを意識したと解説。2階は喜びや悩みなど心を見詰めるアートの空間に、3階は他者に気持ちを伝え、共有する役目を果たすデザインのエリアに、屋上は未来を担う子供たちにアートやデザインの素晴らしさを教える遊び場にした。「この三つを備えた美術館は世界のどこにもない」と胸を張った。

北日本新聞社

最終更新:5/12(金) 23:44
北日本新聞