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もう隣人のタバコに悩まされない!「禁煙マンション」ってどんなマンション?

SUUMOジャーナル 5/12(金) 7:00配信

2020年の東京五輪・パラリンピックに向けた取り組みの一つに、受動喫煙対策の強化がある。街中での喫煙エリアの縮小、飲食店、パブリックスペースの分煙化などさまざまな動きがあるなか、住宅業界においてもユニークな事例が出てきた。旭化成ホームズが展開する「禁煙マンション」だ。居室部分を含む建物内および、敷地内の喫煙を完全に禁止にした賃貸マンションである。その狙いや背景、今後の展開などについて同社に聞いた。

■契約書に「喫煙禁止」のルールを明記する徹底ぶり

2014年11月からスタートした「禁煙マンション」は現在、東京都内で30~40棟。1LDK~2LDKの、シングルもしくは夫婦2人暮らしを想定した物件が多い。禁煙マンションといっても特別な設備があるわけではなく、「喫煙をしない」というルールのみが共有されている。

「入居条件が『禁煙を守る』というだけであって、他には特に変わったことはありません。また、家賃も通常の地域の相場と変わりません。入居者は20代から40代の方が中心で、男女比は半半。特別に女性が多いというわけではないですね」(旭化成ホームズ マーケティング本部の高橋浩介氏、以下同)

なお、賃貸借契約を結ぶ際に行う「重要事項説明」の書類には、「敷地内及び屋内での喫煙を厳禁とする。またこれを遵守できない場合は借主に対し貸主は何らの催告を要せず、本契約を解除することができる」と記されている。マンションの管理規約などで共用部の禁煙を明記しているケースはあるが、貸主・管理側がここまで徹底しているのは珍しい。もちろん、入居者本人だけでなく、部屋に遊びに来た友人などの喫煙もNGだ。

ありそうでなかったコンセプト。昨今の禁煙志向の広がりも相まって、健康志向の入居者には好評のよう。さらに、マンションのオーナーにとってもメリットが大きいという。

「タバコを吸う、吸わないで、部屋の壁紙の汚れは全く違ってきます。現状、壁紙の黄ばみは経年劣化とも入居者の過失とも、どちらにもとれるグレーゾーンなんです。そこで、壁紙の劣化のリスクが少なく綺麗に使ってもらえる禁煙マンションは、メンテナンス費用という観点からもオーナーに喜ばれています。また、吸殻のポイ捨てや寝タバコによる火災の不安が減るのも大きいのではないでしょうか。特別な設備の増設やリノベーションを行う必要もなく、規約に書き足すだけでコストもかかりませんからね」

■現時点では競合不在、今後の展開は?

隣人のタバコの煙やにおいに悩まされてきた人にとっては、まさに願ってもないコンセプトだろう。かなりのニーズが見込めそうだが、「禁煙マンション」と表だって謳ったマンションを展開しているのは、少なくとも大手では旭化成ホームズのみ。いったいなぜなのか?

「確かに、社会的な禁煙の動きがあるのに、競合がいないというのは意外ですよね。理由として考えられるのは、物件のオーナーさんの意識。多くのオーナーさんはやはり、入居者の属性を限定して間口を狭めたくないという思いがあるのではないでしょうか」

ただ一方で、最近は「ペット共生型マンション」や、変わったところでは「ワイン愛好家向けマンション」など、属性やコンセプトを絞り込むことで、ターゲットに強く訴求する物件も増えてきた。今後、さらにタバコ離れの流れが進めば、「禁煙」しばりというコンセプトは、かなりの訴求力になりそうだ。

「集合住宅で隣人を選ぶことはできません。ただ、『禁煙』『女性限定』など入居者の属性を限定すると、ある程度の安心感は担保されますよね。例えば女性限定マンションに住む方に入居の理由を聞くと、女性だけのほうが安心できると思った、喫煙者が少なくマナーが良いと思ったといった声が聞かれます。貸主・管理側がある程度ターゲットを絞ることで、同じ価値観を持った人が集まっていることへの安心感につながるのではないでしょうか」

今後、「禁煙マンション」を増やしていくかどうかは「検討中」というが、潜在的なニーズは十分に感じていると高橋氏。「今は禁煙マンションの存在自体を知らない人が多いと思いますが、認知が広がっていけば禁煙を条件に探す人も増えてくると思います」とのことだ。ちなみに、SUUMOでは現在のところ検索条件に「禁煙」という項目はないが、キーワード検索に「禁煙」と入力して探すと関東地方で約1600の物件がヒットした。
実際、タバコ絡みの隣人トラブルは少なくない。これまでは吸う人、吸わない人の分煙があまりできていなかった住宅業界だが、こうした「禁煙マンション」は解決策の一つとえるかもしれない。

●取材協力
・旭化成ホームズ 禁煙マンション

小野洋平(やじろべえ)

最終更新:5/12(金) 14:12

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