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【米国ウオッチ】トランプ大統領がおびえる「実にひどい経済」 (上)

Bloomberg 5/12(金) 6:49配信

第1四半期の米国内総生産(GDP)が急減速したことについて、トランプ大統領は「実にひどい」と嘆いてみせた上で、「第1、第2四半期は、実際のところ私とは関係ない」と前政権に責任を転嫁した。

同大統領は今月1日、ホワイトハウスの執務室でブルームバーグ・ニュースのインタビューに応じ、「公正を期すために言うが、私はここに来たばかりだ」と語り、「実にひどい経済」から距離を置いた。

しかしトランプ大統領はもはや、経済の悪化から逃れることはできない。なぜなら労働省が3月10日に2月の雇用統計を発表したあと、トランプ氏は「雇用統計はこれまでインチキだったかもしれないが、今では本物だ」と述べ、順調な雇用拡大を自分の手柄としたからだ。

もっとも、この2月の「雇用統計」こそ「インチキ」だと見抜くべきだった。無論、労働省がインチキをしているわけではないが、市場が注目する雇用統計では米国経済の真実がしばしば隠されてしまう。市場関係者が最も注目する非農業部門の雇用者数は、当該の月に創出されたすべての雇用者数からセパレーション(自発的離職者+解雇者)を差し引いた数値である。

こうした総合的なデータの詳細は、雇用統計より1カ月遅れて公表される「求人・労働移動統計」で明らかにされる。それによると、2月は全雇用創出が524万9000人と、1月に比べると17万5000人も減少していた。現実の雇用創出が減少する中で、市場参加者が注目する雇用統計のヘッドラインは23万2000人増加と高い数値を示した。そのマジックはセパレーションが雇用創出よりさらに大幅に減少したためである。

セパレーションは2月に500万8000人と、前の月に比べ23万9000人も減少していたのだ。この結果、雇用創出からセパレーションを差し引くと24万1000人となる。労働移動統計と雇用統計は調査期間が異なるため、数値に若干開きが生じる。

3月の雇用統計では、非農業部門の雇用者数の伸びが7万9000人に縮小してしまったが、トランプ大統領は「統計は本物になった」と前月に言い切った後だけに、この発表後には無言を通した。その後1カ月余りが経過し、低調なGDP統計が発表されたため、冒頭に紹介した通り、「ひどい内容だが、私の責任ではない」と、前政権に責任をなすりつける姿勢に転じたわけだ。

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最終更新:5/12(金) 6:49

Bloomberg