ここから本文です

エイベックス、未払い残業代支払いに10億円計上

5/13(土) 17:50配信

ZUU online

音楽大手のエイベックス・グループ・ホールディングス <7860> が、2017年3月期決算報告の中で、従業員への未払い残業代として約10億円を計上したことを明らかにした。昨年12月に労働基準監督署から是正勧告を受けて、全従業員約1500人を調査した結果、未払い分を確定した。

残業代未払いは、宅配便最大手ヤマトホールディングスや関西電力など頻発し、大きな社会問題になっている。電通の違法な長時間労働による労基法違反事件と併せて、残業を巡る労使問題はこれからも尾を引きそうだ。

■社長の労基署批判が火に油注ぐ

労基署が勧告した昨年12月、松浦勝人社長はブログで、「真摯に受け止め対応はしている」と言いながらも、「好きで働いても法律決められた時間しか働けない」「時代に合わない労基法なんて早く改正してほしい」などと反論した。エンターテインメント業界の特殊性を強調した発言なのだが、この発言をきっかけにネット上で賛否両論の嵐が吹き荒れた。

GLAYのボーカリストTERUさんは、賛成の立場から「僕らの会社も労基法のまま仕事をすると、コンサートなんてできるはずもない」と問題提起したが、他方「雇用者がそれを言った瞬間に終わり」と批判の声もある。

電通の新入社員で自殺した高橋まつりさんの母親は、1周忌に当たり同月、「仕事のために不幸になったり、命を落とすことはあってはなりません」との手記を公開している。

■昨年6月から社員1500人の未払い分確認

エイベックスは、契約社員を含めて社員約1500人を対象に、昨年6月中旬から今年1月中旬までの勤務実態を調査した。その結果、その間の社員のほぼ半数に、未払い分が7億円ほどであることが分かった。5月に支払う。また2月以降についても調査を進めて支払う。

また労働時間を正確に把握するため、出社した社員一人ひとりのパソコンのオン・オフ記録で労働時間を管理してきたこれまでの運用を改め、社員自ら労働時間を報告する制度に変更する。また見なし時間など社員の裁量に任せる裁量労働制の導入も検討に入る。

ちなみに残業代とは、「1日8時間、1週40時間」の法定労働時間を超えて働いた時間に支払われる、賃金に含まれるべき労働対価である。

エイベックスはこの機に、「未払い分は真摯に対応する。裁量労働制やフレックス制度を導入して、働き方の改革を進める」とコメントしている。

芸能に関する仕事は長引き、夜にずれ込むことが多く、必然的に長時間労働、深夜労働になるが、松浦社長がブログで述べた発言が許されるのか、はなはだ疑問でもある。今回のケースが芸能以外の業態に与える影響は少なくない。今後の労使問題のあり方に一石を投じたといえる。(長瀬雄壱 フリージャーナリスト、元大手通信社記者)

ZUU online

最終更新:5/13(土) 17:50
ZUU online