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中村俊輔がもたらした安定感と探し続ける磐田での最適解…名波監督が今後への抱く期待/コラム

GOAL 5/13(土) 18:17配信

ジュビロ磐田が10試合を終えて積み上げた勝ち点は15。4勝3分け3敗という成績は昨季と全く一緒だが、名波浩監督は「去年と今の勝ち点15は全く意味合いが違う」と語る。

昨季との違いは安定した守備に現れている。失点数は18チーム中2番目に少ない9で、昨季の17から大幅減。2点以上の複数失点を喫した試合も4回から2回に減った。名波監督就任当初から取り組む守備の整備が進んでいることはもちろんだが、試合をコントロールできる中村俊輔の加入は大きい。

守備を統率する大井健太郎は、こんな変化を感じ取る。「昨季は自分たちがやっていることを出そうとするあまり、悪い時でも無理やり前からプレスにいっていた。ただ、今年は俊さんみたいに経験がある選手が『今はこうしよう』と明確に示してくれる。今は無理に前からいかず、守って耐える時間もできるようになった」。味方の状況や相手とのパワーバランス、試合の流れ……。試合に出ている選手にしか分からない微妙な“温度”を敏感に察知し、的確な判断を示す“ピッチ上の監督”を中村俊が務めることで、チームに安定感が生まれた。

■試行錯誤の末、見出しつつある最適解

一方で、中村俊の判断が、磐田の良さを消している時もあった。名波監督が挙げたのは、明治安田生命J1リーグ第3節大宮アルディージャ戦と第4節ヴィッセル神戸戦。大宮戦はリードしていた後半、トップ下の中村俊が最終ラインまで下がって5バック気味になっていた時間があった。0-1で敗れた神戸戦は相手の攻撃陣を恐れてラインを下げた分、自陣に引きこもって積極性を欠くサッカーになってしまった。前線からアグレッシブにボールを奪いにいくという、磐田がJ2時代から積み上げてきたスタイルとは違っていた。

名波監督の考えはこうだ。「真逆とは言えないまでも判断が俺たちの思惑と違う時がある。だから、本人を呼んだりして、『もう少しこうしようぜ』と言っている。俊輔には『俺たちはキャンプで何をやってきたんだ』と伝えた。そこで真剣に考えてくれたからダービー(第5節の清水エスパルス戦)から、前から守備にいけるようになった」。

中村俊は攻撃の組み立てでも、今まで長年培ってきたサッカー観と、磐田のスタイルとの間で、模索を続けていた。開幕当初の4-2-3-1のトップ下では、ピッチを縦横無尽に動き回り、時には最終ラインまで下がって攻撃を組み立てようと試みた。しかし、思い通りにはいかなかった。

「このチームでトップ下をやって気付いたのは、余計なことしないで、割り切って前にいることの必要性。あちこち動いても、周りとの化学反応が起きなかった。それでは動き損。だから、各ポジションで、やれることに専念した方がいい」

■名波監督と中村俊が抱く期待

清水戦からは右サイドハーフに回り、第7節サガン鳥栖戦から採用する3-4-2-1-ではシャドーの位置に入った。役割が明確になったことが奏功。負担の少ないサイドで時間的な余裕が生まれ、攻撃は活性化した。その効果もあってか、3-1で快勝した清水戦から3勝1分け2敗とチーム状況は上向きだ。

10試合を終えた指揮官は現状を、「俊輔の取り扱い説明書が10ページあるとしたら、周りはまだ2、3ページ目しか熟読していない。ここからもう少し、読む時間、考える時間を増やしていって、シーズン終わりには8ページくらいまでいければいい。そうすれば、おのずと俊輔を経由する回数が増えて、おとりにして連動する回数も増えてくるはず」と語る。中村俊も「今のチームは何でも吸収して次にはねるためのバネみたいな時期」と期待を抱く。

5月14日の川崎フロンターレ戦に向け、中村俊は「ボールを持たれる時間が多くなるかもしれないが、できるだけ前からプレッシャーをかけて、取ってからの質の高い攻撃を見せたい」と意気込みを示した。生え抜きの中村憲剛を軸としたパスサッカーを確立している川崎Fに、新天地で試行錯誤を繰り返す中村俊はどんなプレーを見せてくれるだろうか。

GOAL

最終更新:5/13(土) 18:17

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