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世界新、高齢者の星 マスターズ出場 86歳・青森の田中さん「長寿へ経験伝えたい」 

産経新聞 5/13(土) 7:55配信

 中高年の選手らが年齢別で競うマスターズ陸上の室内世界選手権(3月19~25日、韓国・大邱市)で、青森マスターズ陸上競技連盟顧問の田中博男さん(86)=青森市=が世界新記録を樹立し、話題となっている。日々のトレーニングを欠かさず、体調管理にも気を付けているという田中さん。「私の経験を何らかの形で伝えていきたい」と、同世代の人たちに元気と夢を与えるために生涯現役を貫く。 (福田徳行)

 小学生の頃から俊足で、運動会などでは常に1位だったという田中さん。終戦後、小学校の教諭になり、定年を目前にしたある日、年齢別に競うマスターズ陸上を紹介する新聞記事が目に留まった。走ることが好きだった小さい頃の思いがふつふつと湧き上がり、一念発起して本格的なトレーニングを開始した。

 平成13年、70歳の時にオーストラリアで行われた世界選手権に初出場し、金メダルと銅メダルを獲得。以後、世界選手権、アジア選手権を合わせ51個のメダルを手にし、昨年5月に仙台市で行われた屋外での大会では100メートル、200メートルで世界記録を樹立した。

 絶好調で臨んだ世界選手権M85(男子・85~89歳)の60メートルは9秒77、200メートルでも33秒76をたたき出し、それまでの世界記録をそれぞれ0秒01、0秒66更新する世界新記録を樹立。さらに400メートル、800メートルでも1位となり、800メートルリレーの日本チームの一員としても1位に貢献、大車輪の活躍を見せた。

 それまで未経験だったインドアの大会。コースの形状が違うため、あえてスターティングブロックを使わなかったが、「持てる力を発揮できればと思った。普段通りの調子で走れたのが好成績につながった」と笑顔で振り返る。同僚も「屋外と屋内の世界新記録は快挙」と驚きを隠さない。

 今でもほぼ毎日、トレーニングを欠かさない。約3キロの早朝ランニングのほか、冬場も屋内施設で約2時間のランニングをこなし体力、筋力の維持に努めている。

 さらに月1回、主治医の診察を受けるなど、体調管理は怠らない。

 「走ることは野生本能。少しばかりの努力と経験が結果につながっているのではないか」と謙遜する田中さんだが、次の目標は来年スペインで行われる世界選手権への出場。「記録にこだわらず、90歳まで走り続けたい」と意欲は尽きない。

 “中高年の星”として輝きを増す田中さん。全国一の「短命県」と言われる青森だが、自らの走りを通して「健康寿命の延伸に向け、自分の経験を伝えていきたい」と笑顔を見せた。

最終更新:5/13(土) 7:55

産経新聞