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中小企業が「大企業に勝てる戦略」とは?

ZUU online 5/13(土) 18:40配信

日本の小売各社がもっとも力を入れているのはPB(プライベートブランド)商品。元来、売るだけだった小売が開発に携わるようになった目的とは「他社との差別化」だ。

■ユーザーがPB商品を選ぶ理由

現在のPB商品は、以下の2つに大きく分かれている。

(1)安くて「お買い得感」を売りにしている
(2)値段も高い代わりに「高品質」を売りにしている

実は、ユーザーにとってPB商品を買う一番のメリットが何かと言えば、価格ではなく「手間の省略」である。一般に、消費者がまったく聞いたことのないメーカーの商品を買うには勇気がいる。だが、もしその商品に自分がよく知っているお店のブランドが付いていて、ある程度の品質が保証されているのであれば、ずっと買いやすくなる。

つまり、ユーザーがPBを買うメリットとは「自分で商品を品定めする必要がない」という点にある。PBとは、まさに忙しくて時間がない現代人向けの商品なのである。

■PB商品の製造はメーカーにとっても「お得」

PBを開発する小売企業が見逃せない利点として、「ユーザーとの接触頻度が上がる」という点は見逃せない。消費者の心理に占めるブランドの割合のことをマインドシェアと言う。企業はどこもこのマインドシェアを上げるために、決して安くはない広告料を払っている。

我々は普段、テレビを見たり町を歩いていたりするだけでも、毎日ブランドの看板を目にしており、無意識の中にブランドイメージが刷り込まれている。さらに消費者がPB商品を買って帰ってくれれば、家族にもPB製品をアピールすることができる。PBは、まさにマインドシェアを上げる役割を果たしてくれる。

かつてのPBは安く売りたい小売と値引きを嫌うメーカーが対立した結果、発展してきたという経緯がある。しかし、今では大手メーカーもPBの製造を請け負うようになっている。通常、メーカーは小売各店の要望に細かく対応し、そこから生産量を決定し生産を行ない、ある程度の返品にも応じていかなければならない。

だが、メーカーがPB商品を受注する場合、基本的に製造したものは小売が買い取ってくれるシステムになっている。店舗数が多い企業のPBであれば、それだけ大量注文も入る。注文の分母が増えれば全体の製造単価を下げることができる。PB商品の製造はメーカー側にとってもチャンスである。

■中小企業が「大企業に勝てる戦略」とは

今後の日本の小売業界がどうなっていくのか、筆者の見解を述べたいと思う。

これは小売業界に限ったことではないが、以後はすべての業界で「何にでも対応できる企業」か「一つのサービスに特化する企業」かの、いずれかに分かれていくと思われる。ネット通販アマゾンは前者の典型であり、後者の典型で言うと、かつての吉野家などがそうだろう。今は「○○専門店」というのが流行っており、消費者も多くは「そこでしか得られない特別感」を求める傾向にある。

巨大化する大企業によって、中小企業が倒産の危機に追い込まれることを心配する意見もあるが、それによって潰れる企業というのは、おそらくそれまで競争相手がいなくてたまたま生き残っていただけなのではないだろうか。中小企業が生き残るヒントが何かと言うと、先ほどお伝えした二極化するうちの「特化型」のほうにある。

確かに、中小企業が大企業と同じ戦法を取れば勝てないが、中小企業もやり方次第で十分に生き残ることは可能である。現にそうやって生き残っている企業は世の中にたくさんあるのだから。

俣野成敏(またの なるとし)
1993年、シチズン時計株式会社入社。31歳でメーカー直販在庫処分店を社内起業。年商14億円企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社)や『一流の人はなぜそこまで◯◯にこだわるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)のシリーズが共に10万部超のベストセラーに。2012 年に独立。複数の事業経営や投資活動の傍ら、「お金・時間・場所」に自由なサラリーマンの育成にも力を注ぐ。

最終更新:5/13(土) 18:40

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