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「太陽政策」に回帰=革新系の文在寅政権船出-韓国〔深層探訪〕

時事通信 5/13(土) 8:29配信

 韓国大統領選で圧倒的な勝利を収めた文在寅氏が10日、大統領に就任し、2代続いた保守政権から9年ぶりに革新政権に交代した。北朝鮮の核・ミサイル問題で朝鮮半島の緊張が高まる中、文氏は北朝鮮への融和路線を貫いた金大中、盧武鉉政権時代の「太陽政策」への回帰を模索。北朝鮮への圧力よりも対話を優先する新政権の誕生で、南北関係は転換点を迎え、圧力強化を重視する日米両国との連携の乱れも予想される。

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◇南北会談に意欲
 「安全保障の危機を解決する。条件が整えば平壌にも行く」。文氏は就任宣誓式の演説で、核問題解決のためになるなら、金正恩朝鮮労働党委員長との首脳会談にも臨む考えを示した。盧元大統領の側近として太陽政策の継承を公言してきた文氏が北朝鮮に対話メッセージを送った形だ。

 金大中政権下で開始された南北交流を軸にした太陽政策は、緊張緩和を促進し、2000年には金大統領と金正日総書記による初の南北首脳会談が実現。盧政権下の07年にも2回目の首脳会談が行われた。開城工業団地など経済協力事業が進められたが、08年以降の保守政権下で緊張が高まり、南北交流は完全に遮断された状態だ。
◇キーパーソン
 文政権には停止した南北交流を再始動させたい狙いがあるとみられる。文氏は就任直後の初人事として、首相のほか、情報機関の国家情報院(国情院)トップに徐薫・元国情院第3次長を指名。徐氏は過去2回の南北首脳会談の際に交渉に関わっており、新政権が北朝鮮とのハイレベル対話を模索する上での「キーパーソン」となる人物だ。

 徐氏は記者会見で「南北首脳会談の話は時期尚早だ」としながらも、「首脳会談は必要だ」と強調。朝鮮半島の軍事的緊張緩和や核問題解決の突破口模索に寄与するとの「条件」が整えば、「平壌に行くことができる」と主張し、南北首脳会談の開催に意欲を示した。
◇「包囲網」に穴も
 ただ韓国の北朝鮮への接近は、米国との対立の火種となる可能性を秘めている。トランプ米政権は北朝鮮問題を「最優先の外交課題」とし、核・ミサイル開発阻止に向け、軍事・外交・経済面から強力な圧力をかけている。しかし、「封じ込め」を懸念する北朝鮮が韓国の取り込みを図れば、こうした「包囲網」に穴があく恐れがある。

 文氏は「必要であれば、直ちにワシントンに飛ぶ」「韓米同盟をさらに強化する」と米国との関係を重視する姿勢も強調した。ただ文氏は最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の在韓米軍配備に対して慎重な立場を示しており、文氏の対応次第では米国との摩擦が表面化する恐れもある。米韓筋は「韓米の協力関係が試されることになるだろう」と語った。(ソウル時事)

最終更新:5/13(土) 9:58

時事通信