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90歳の南武線、誕生秘話を熱演 川崎郷土・市民劇13日開幕   

産経新聞 5/13(土) 7:55配信

 川崎と東京・多摩地域を結び、貨物と通勤・通学客の足として愛されるJR南武線。昭和2年に「南武鉄道」として開通し、今年3月に開業90周年を迎えた。川崎の大動脈ともいわれる南武線だが、開通に奔走した秋元喜四郎、浅野総一郎という2人の男の夢と葛藤を描きながら、誕生に秘められたエピソードに迫る市民劇が、13日から上演される。 (那須慎一)

 川崎郷土・市民劇第6弾として公演が行われる「南武線誕生物語-夢みる男たち-」の上演が間近となる中、川崎市幸区の京浜協同劇団の稽古場では、演出を手がける青年劇場の板倉哲氏や、市民、プロが混在する出演者ら約30人が通し稽古などに真剣に臨んでいた。

 ◆議員と財閥総帥

 稽古中、時折、セリフが飛んでしまったり、立ち位置を間違えたりといった場面も見られたが、心に訴える芝居が繰り広げられ、見る者を飽きさせない。

 物語は、南武線の前身である南武鉄道の誕生に懸けた2人の男を中心とした人間ドラマに仕立てている。

 2人のうち、1人は御幸村(当時)の村会議員を経て橘樹郡(同)の郡会議員として活躍し、多摩川に堤防を築いてほしいと立ち上がった村民600人のリーダーも務めた秋元喜四郎。もう1人はガスやセメント、造船、運河など広大な埋め立て事業を行った浅野財閥の浅野総一郎。全く違う立場の2人が、登戸などの砂利を運搬するための路線として「南武鉄道」開通に奔走するほか、その時代を生きた住民たち一人一人のさまざまな思いが舞台上で表現される。

 演出の板倉氏によると、今回の舞台では、昨年10月に初心者を含む出演者らと行ったワークショップを皮切りに、約8カ月にわたって準備を進め、チームワークを高めてきたという。

 ◆現代に通ずるものも

 板倉氏は「南武線敷設にあたり、国と地方、東京都と県など当時の対立構造などを描いているが、現代に通ずるものもある。浅野、秋元がメインではあるが、出演者それぞれにキラリと光るせりふが与えられており、そうしたせりふや演技から何かを感じとっていただけたらとてもうれしい」と話す。

 川崎郷土・市民劇は、川崎の歴史や人物を取り上げ、市民自身が劇化して上演することで、多くの市民に鑑賞の機会を提供するとともに、街の活性化を図る狙いで、平成16年に市制80周年を迎えたのを記念して、17年にスタート。これまで5作品の上演を行い、毎回3500人以上の観客が楽しんでいるという。

 公演日程は、多摩区の多摩市民館で13、14日(各回午後1時半開演)、中原区の市総合福祉センター(エポックなかはら)で19日(午後6時半開演)と20、21日(各回午後1時半開演)の計5回となっている。

 チケットは、川崎文化会議(川崎区)やラゾーナ川崎プラザソル(幸区)、京浜協同劇団(同区)などで。問い合わせは、実行委員会(電)044・222・8878。

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【用語解説】JR南武線

 川崎駅(川崎市川崎区)と立川駅(東京都立川市)を結ぶ35.5キロのJR東日本の路線。川崎駅付近や臨海地区などの南部地域と川崎市多摩区などの北部地域を結ぶ唯一の交通機関となる。本線以外に、尻手駅(幸区)と浜川崎駅(川崎区)を結ぶ支線もある。昭和2年に川崎-登戸駅間などが開業し、今年で開業90周年を迎えた。

最終更新:5/13(土) 7:55

産経新聞