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上場企業、5年連続増益=生産拡大で下期急回復-17年3月期決算〔深層探訪〕

時事通信 5/13(土) 8:32配信

 上場企業の2017年3月期決算発表が12日、ピークを迎えた。全体の経常利益は5年連続の増益を確保できる見通しだ。16年9月中間決算の段階では2桁の減益だったが、世界的な景気回復を受けて国内生産が拡大。さらに昨年11月以降の「トランプ相場」で円高の逆風が和らぎ、企業業績は下半期に急回復した。

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 ◇6割以上が業績上振れ
 時事通信の集計によると、11日までに決算を発表した東証1部780社(全体の61.2%、金融を除く)の連結経常利益は前期比1.1%増。当初予想を示した729社のうち、6割以上に当たる478社の業績が上振れした。

 「下期にかけ、大幅に収益が改善した」(新日鉄住金の栄敏治副社長)。17年3月期決算の特徴はこの一言に集約される。自動車や建設向けの鉄鋼需要が堅調で、新日鉄住金の下期の経常利益は上期の5.2倍の1465億円となった。業績急回復の主因は生産数量の増加だ。

 昨年10月以降、国内企業の在庫調整が一巡。工作機械、中国向けスマートフォンが好調な電子部品を筆頭に、国内の製品出荷は拡大局面に入った。原油や鉄鉱石、石炭など国際資源価格も上昇し、大手商社7社はそろって純損益で黒字を確保した。

 石油元売り大手のJXホールディングス(現JXTGホールディングス)は原油の在庫評価益が増え、大幅黒字に転換した。資源取引活発化を受け、海運市況も「下期はようやく大底から脱し、緩やかな回復を示した」(日本郵船の宮本教子経営委員)。

 内需型企業や非製造業も全体の企業業績を押し上げた。20年の東京五輪を控え、工事需要が拡大する建設大手は軒並み増益。通信大手のソフトバンクグループやNTTドコモは、スマホや光回線などが堅調でいずれも営業利益を2桁伸ばした。ソフトバンクの孫正義社長は「成長のエンジンは(米携帯電話子会社)スプリントだ」と大型M&A(合併・買収)の成果を強調した。

 ◇自動車は減益
 17年3月期の平均為替レートが1ドル=108円と、前期に比べ約12円も円高が進んだ結果、自動車大手は大幅減益を余儀なくされた。ただ海外生産比率の上昇で円高への耐性が強まっていることに加え、下期の円安基調もあり、減益幅は事前予想よりも圧縮された。

 18年3月期については、上場企業全体では堅調な伸びが見込まれるが、自動車各社はドル箱である北米市場の競争激化を受けて軒並み減益を予想する。トヨタ自動車は想定為替レートを1ドル=105円とさらに円高方向に設定し、2期連続の営業減益を見通している。

 同社の豊田章男社長は決算発表の記者会見で「2期連続の減益はスポーツでは連敗。負けず嫌いは私だけではない」と語り、コスト削減努力を一段と徹底する考えを示した。

◇主要企業の17年3月期経常利益
             当初予想     実 績
トヨタ自動車      19,000  21,938
            (▲36.3) (▲26.5)
NTTドコモ       9,140   9,495
            ( 17.5) ( 22.0)
日立製作所        4,300   4,690
            (▲16.8) (▲ 9.3)
JXホールディングス   2,600   3,335
              黒字転換    黒字転換
三井不動産        1,980   2,196
            (  8.5) ( 20.3)
新日鉄住金        1,300   1,745
            (▲35.3) (▲13.1)
ファナック        1,281   1,688
            (▲44.1) (▲26.4)
大成建設         1,000   1,445
            (▲15.0) ( 22.8)
TDK            730   2,117
            (▲20.5) ( 2.3倍)
(注)単位億円。カッコ内は前期比増減率%、▲は減。トヨタ、ドコモ、日立、TDKは税引き前利益で比較。JXは現JXTGHD

最終更新:5/13(土) 12:41

時事通信