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<サイバー攻撃>身代金要求「ランサムウエア」世界で猛威

毎日新聞 5/13(土) 11:42配信

 ◇米国土安全保障省、攻撃が世界各国で発生したと警告

 【ワシントン高本耕太、ロンドン矢野純一】米国土安全保障省は12日、パソコンを凍結させ復旧と引き換えに金銭を要求するウイルス「ランサムウエア」の攻撃が世界各国で発生したと警告した。欧米の主要情報セキュリティー会社などによると、欧州や日本を含むアジア諸国など少なくとも99カ国で7万5000件の感染が確認されるなど国際的な混乱が生じており、さらに拡大する恐れもある。

 英国では公共医療制度を管轄する国民医療サービス(NHS)のシステムが一部地域で停止に追い込まれ、複数の医療機関で診療ができなくなった。AP通信などによると、ロシアでも内務省のコンピューター約1000台が攻撃され、捜査機関や大手携帯電話会社に被害が発生。米運輸大手フェデックスやスペインの通信大手テレフォニカも標的になった。トルコ、ベトナム、フィリピン、中国、イタリアでも被害が確認されているという。

 英国では、数十カ所の病院でIT化された診断記録などの閲覧ができなくなるなど被害が出ている。患者の個人情報が盗まれた形跡はないという。

 メイ英首相は「世界中でサイバー攻撃が起きており、NHSだけが狙われているわけではない」と国民に平静を呼びかけた。また、サイバーテロ対策を担当する国家サイバーセキュリティーセンターの協力を得て調査を進めているとした。

 今回攻撃が拡大したランサムウエアは「ワナ・クライ」と呼ばれるもの。感染したパソコンをロックして使用できないようにし、ロックを解除する見返りに、仮想通貨「ビットコイン」で「身代金」300ドル(約3万4000円)の支払いを求める表示を画面に出すという。

 攻撃を受けたのは米IT大手マイクロソフト社の基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」を使った端末。同社によると3月に今回のような攻撃に備え安全対策を更新し、今月12日に新たな防御措置を加えたという。

 何者の犯行かは明らかになっていない。チェコの情報セキュリティー会社アバストなどによると、今回の攻撃には「シャドー・ブローカーズ」と呼ばれるハッカー集団が関わっている可能性がある。この集団は4月、通信傍受などが専門の米国家安全保障局(NSA)が開発したとされるマルウエア(悪意のあるソフトウエア)を公開していたという。米ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は12日、このソフトが今回の攻撃で悪用されたと報じた。

 警察庁によると、今回、世界的に起きているサイバー攻撃について、今のところ日本での被害の報告は入っていない。

最終更新:5/13(土) 13:04

毎日新聞