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「ダム女」が温泉も楽しむ 美女が案内、JR吾妻線

産経新聞 5/13(土) 15:00配信

【北関東鉄道紀行・群馬】

 群馬県渋川市から嬬恋(つまごい)村の大前駅まで、吾妻川に沿って西に向かうJR吾妻線。沿線には草津や万座、四万(しま)といった有名温泉がある。しかし、利用客の減少で18駅のうち14駅が無人駅となっているのが現状だ。

 その廃れゆく吾妻線が八ツ場(やんば)ダムの建設により、岩島-長野原草津口駅間の路線が新線に切り替わり、湖底に沈む川原湯温泉駅も高台に移転、変貌をとげた。

 渋川駅から各駅停車に乗り約50分。岩島駅を過ぎ、八ツ場トンネル(4489メートル)を抜ける。視界が開けガラス張りの真新しい川原湯温泉駅が現れた。吾妻川にはダム湖を渡る巨大な橋が架かる。

 桜が満開の長野原草津口駅で下車し、「やんばツアーズ」の待ち合わせ場所に向かう。国土交通省八ツ場ダム工事事務所主催のツアーで、ダムは3年後(平成31年度)の完成を目指している。現在は本体工事の1割程度が完了し、ダム堤の高さは10メートルほど。ダム工事が急ピッチで行われる現場を見ることができる。今が旬の人気ツアーだ。

 コンシェルジュの土屋早佳さんの案内で、参加者約20人とバスで約120メートルの高台に設けられた見学ステージに移動した。そこから見下ろすと、巨大なダンプカーも豆粒のように小さく見える。

 「山で掘った砂利をベルトコンベヤーで10キロ運び、高台から練ったコンクリートをケーブルと巨大なバケットで吊り下ろします。『いだてん』(愛称)という工法でスピードをアップしてコンクリートを打ちます」と土屋さん。約450人の作業員が交代しながら24時間体制で作業し、完成を目指す。

 ツアー後、川原湯温泉を訪れた。人出も少なく閑散としていた。高台に移転してきた共同風呂「王湯」に浸かる。毎年、大寒の未明に行われる奇祭「湯かけ祭り」はここで行われる。

 温泉の露天風呂からはダム湖が一望できる。ほてった身体に冷たい風が心地よい。

 のんびり湯に浸かっていたため、慌てて列車に駆け込んだ。すると「こんにちは!」と明るい声が響いた。地元・長野原高校に通学する穂苅虎太朗君(15)らが乗客に挨拶する運動をしているという。

 「いいことだよ、頑張れよ」と声を掛けて帰路についた。

(前橋支局 橋爪一彦)

 ■JR吾妻線 昭和20年、渋川-長野原駅間を長野原線として開業。46年、嬬恋村の大前駅まで延伸し吾妻線と改称された。平成29年4月1日、万座・鹿沢口と群馬原町の両駅が無人となり、18カ所の駅のうち14駅が無人化された。路線距離55・3キロ。

 「やんばツアーズ」は個人と団体向けがあり、一般や訪日外国人・ナイトツアーなど合計10種類。参加費無料、要予約。詳しくは八ツ場ダム工事事務所(電)0279・82・2317。

最終更新:5/13(土) 15:00

産経新聞