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ハンド男子「ダグル・ジャパン」始動 埋まるか!? 海外強豪との“ギャップ”

産経新聞 5/13(土) 12:22配信

 2020年東京五輪に向けてハンドボール日本男子代表が新たなスタートを切った。2月に監督に就いたダグル・シグルドソン氏(44)は、最初の強化合宿を4月12日から約1カ月の日程で、味の素ナショナルトレーニングセンターで実施した。アイスランド人指揮官は「日本選手の足りないところを補っていきたい」と、海外強豪との“ギャップ”を埋める作業からチーム改革に取りかかっている。

 合宿に参加したのは21人。銘苅淳(アンヘル・ヒメネス)、土井杏利(シャンベリー)といった海外組は招集されなかったものの、シグルドソン監督が「ベストの選手を選んだ」と語るように、徳田新之介(筑波大)、玉川裕康(国士舘大)といった大学生から33歳の門山哲也(トヨタ自動車)まで幅広い年代からの選出となった。

 報道公開された5月2日、目を引いたのは長身の外国選手が練習に加わっていた点である。シグルドソン監督が母国・アイスランドから有望な若手選手を計5人、日本に呼び寄せたのだ。

 狙いは「欧州の選手とどう対戦するか学ぶこと」。日本人同士では味わえない腕の長さや間合い、コンタクトしながらのプレーの質などを肌で感じるためだ。

 実際にアイスランド選手のシュートを受けたGKの木村昌丈(大崎電気)は「日本人は小さい頃から全身で投げるように教わるので、体の振りで(タイミングが)分かるが、アイスランドの選手はディフェンスに当たられながらでも肘と手首を使って打ってくる。最初は反応するのが難しかった」と言う。

 合宿には木村のほか、190センチ、22歳の岡本大亮(トヨタ車体)、190センチ、23歳の西出克己(トヨタ自動車東日本)、192センチ、24歳の佐々木亮輔(豊田合成)の初代表のGK3人が呼ばれており、次世代の大型守護神を育成したいとの狙いも見て取れる。

 アイスランド選手の5人の中にはGKもおり、日本人のシューターにとってもプラスは大きい。

 また、今合宿では世界レベルの試合で通用するフィジカルを身に付けるため、1週間に3回のウエートトレーニング、1回のラントレーニングが設定された。ウオーミングアップの一部にもフィジカルトレーニングの要素が入っていたりするという。

 そのうえで、通常の練習内容は濃く、昨季リーグ得点王の東江雄斗(大同特殊鋼)は「1回の練習で速攻、ディフェンス、オフェンスと全てやる。体も頭もずっと使っている。フル回転」と語るほどだ。

 シグルドソン監督は強豪ドイツ代表を率い、2016年欧州選手権優勝、リオデジャネイロ五輪銅メダルに導いた。現役時代はクレバーなゲームメーカーとして鳴らし、日本リーグの湧永製薬でプレーした経験もある。「監督、日本語話しますよ。日本語で伝えようとしてくれる」(藤本純季)、「1人1人のために試合映像を一生懸命に編集してくれる」(木村)と、選手との距離感も悪くなさそうだ。

 男子代表は1988年ソウル大会を最後に五輪に7大会連続で出場できていない。ハンドボールの象徴的存在である宮崎大輔(大崎電気)も、すでに35歳と若くない。女子は2019年に熊本で世界選手権が開催されるが、男子にはそのようなステップとなるイベントもない。

 となれば、代表チームに求められてくるのは、強化が着実に進んでいるとアピールできる結果だ。開催国枠で東京五輪に出場できたとしても、チームの成長なくして、機運の醸成は期待できないだろう。

 今合宿から始めた“ギャップ”を埋める作業を地道に続けていくとして、あとは時間との戦いになる。残り3年。いかに精度高く、密度濃く2020年までトレーニングを積み重ねられるか。

 ダグル・ジャパンの初陣は7月29日の日韓定期戦(東京・駒沢体育館)。真価を問うのは、まだ先だが、まずは飛躍の“萌芽”が見られるか注目される。(運動部 宝田将志)

最終更新:5/13(土) 12:22

産経新聞