ここから本文です

「ラヴァ・ジャット作戦」の先にある、ブラジル刷新のチャンス

5/13(土) 21:37配信

MEGABRASIL

2018年の大統領選に向けて膿を出す「ラヴァ・ジャット作戦」

1989年以降のブラジル現代史を振り返ると、今日ほど、そして来る2018年の総選挙ほど、ブラジル政治が刷新に近づいていると、感じ得る時はないように思われる。

伝統的な政治スタイルへの拒絶に加え、景気後退の相乗効果もあり、2018年10月の総選挙では、州知事や連邦議員の大幅な世代交替が起きるだろう。

伝統的政治への拒絶反応はいわゆるラヴァ・ジャット(註:語彙は高速洗車機。石油スタンドを使った資金洗浄容疑捜査から始まったためこのネーミングとなった)捜査によってもたらされた。この捜査は、連邦の検察、警察、司法の手によって進められてきたものである。

(2017年)3月17日で、ラヴァ・ジャットは満三年を迎えた。この時点までに、およそ以下のような成果が上がっている。

調査済み賄賂総額41 億レアル、ブラジル最大のゼネコン、オーデブレヒチ社が認めた贈賄額19億レアル(約690億円)、公金横領特定額100億レアル(約3630億円)、容疑者の資産凍結額32億レアル(約1162億円)、関与企業支払い罰金総額71億レアル(約2578億円)。

ラヴァ・ジャット捜査の解明によって、政治家のほぼ一世代が直接・間接に汚職に関わっていることが明らかにされつつある。当人たちはいずれも「潔白だ」と主張しているが、最終的に断を下すのは司法である。

テメル大統領も2014年の総選挙において不正資金の恩恵を受けたとされている。カルドーゾ元大統領の党である社会民主党 (PSDB)の三人の大物、アエシオ・ネーヴィス(元ミナス州知事)、ジェラウド・アウキミン(サンパウロ州知事)、ジョゼ・セーハ(前外務大臣)の氏名もリストに上る。

労働者党 (PT)の多数の幹部や同党の最も重要な歴史的リーダーであるルーラ元大統領もラバジャット捜査関連で告発されている。

こうした政治混迷にダメ押しをするように、ブラジルは過去2年間、史上最悪の景気後退に見舞われた。GDP 成長率は、2015年がマイナス3.8%、16年はマイナス3.6% であった。

内戦があったわけでもなく、特別な国外要因があったわけでもない。この惨事は、近年の政権が採用した政策の結果である。

GDPの落ち込みに人口増を勘案すれば、ブラジル国民一人当たりの所得は、この二年間で9%も縮小したことになる。この結果が、政権の極めて低い支持率となっている。いずれの世論調査でも、テメル政権の支持率は10%~15%を示している。

このような落胆させられる現況だが、このことから二つのことが見えてくる。

第一は、大統領にせよ国会にせよ、もはや失うものが何もない、ということである。

今年2017年には、社会保障改革と改正労働法が成立する可能性がある。今回の危機の最もポジティブなレガシーとなろう。

第二は、可能性が若干低くなるが、本稿の冒頭で述べた政治の刷新の可能性だ。

全国で5000超に上る2016年の市長選挙で示されたメッセージは極めてはっきりしていた。三大都市の市長、すなわちサンパウロ市のジョアン・ドリア、リオ市のマルセロ・クリヴェーラ、ベロオリゾンチ市のアレシャンドリ・カリウ市長は、いずれも伝統的な政治に抗する演説を行っている。

このことは、ブラジルの有権者たちが主要政党にどのような解決策を求めているかを物語っている。

ブラジルで、過去このような現象が生じた最後の事例は、フェルナンド・コロル大統領が選出された1989 年の選挙であった。もっともコロル大統領の場合は、経験不足に加え支持政党が小党であったこともあり、1992年、罷免請求運動で辞任に追い込まれた。

歴史が完全に繰り返すとは言い難いが、ブラジル政治の気中には少なくとも刷新のにおいがはっきりと漂い始めたのは確かである。

(文/フェルナンド・ホロリゲス、記事提供/日本ブラジル中央協会)

最終更新:5/13(土) 21:37
MEGABRASIL