ここから本文です

普段は里山ボランティア 災害時 被災地復旧へ出動 三重 熊野レストレーション

日本農業新聞 5/13(土) 7:01配信

 里山ボランティアを育成する三重県の一般社団法人・熊野レストレーションは、地震や台風など自然災害から早期復旧するための人材育成と派遣の体制づくりを進めている。全国にチェーンソー技術を持った人材のネットワークをつくり、災害時に「テクニカルボランティア」として派遣。一般ボランティアにはできない、家の解体や通路確保に当たる仕組みだ。熊本地震の復旧作業に当たった実績から、会員は全国へと広がっている。

チェーンソー駆使 通路確保やがれき撤去

 同法人は2011年の紀伊半島大水害を機に、尾鷲市の端無(はなし)徹也さん(44)が設立した。現在、会員は全国で約50人。普段は中部、近畿を中心に里山整備ボランティアを引き受け、山崩れ防止に取り組む。

 災害時には、生活圏の早期復旧に尽力する。復興に携わる日本テクニカルボランティア協会と共に「テクニカルボランティア」を派遣。被災地のボランティアセンターや行政と連携し活動する。

 主な作業は、チェーンソーを使った家の解体や、流木や倒木など障害物撤去。要望を受け、地域内の通路を確保したり家の中から大事なものを取り出したりと、一般ボランティアでは難しい任務をこなす。

1200人超を派遣

 災害時には、会員の人脈を活用して発生地で人材を募る。同法人と協会で現在まで、延べ1249人を派遣した。16年の熊本地震では、現地の状況が落ち着き始めた4月26日から活動を開始。38日間で延べ283人が現地に入った。

 熊本地震で被災した熊本県西原村の久保田真由美さん(51)は、自宅の屋根のブルーシート張りやがれきで埋まった部屋の整理を依頼した。「素人ができない作業を任せられて助かった。作業の幅も広く、地域で頼もしい存在だった」と話す。

定期的に研修

 災害発生時に派遣できる人材を育てるため、同法人は月1回程度、里山整備の作業の中でチェーンソーの技術を指導。安全な使い方や木を切る際の注意点、複数人で作業する時の声掛けの仕方を伝える。定期的に、技術や災害時の安全確保の研修会も開く。ボランティア活動保険に加入した上で現場に派遣する。

 会員の三重県伊勢市の柳本憲久さん(60)は、14年の兵庫県丹波市の豪雨災害時には流木をチェーンソーで切断、撤去した。「普段から作業するので技術が鈍らない。自分の技術が役立ち、やりがいがある」と話す。

 造園業に従事する兵庫県川西市の池田孝之さん(49)も、普段は月1回のペースで里山整備ボランティアとして活動する。池田さんは「災害対応を前提とした指導も受けられる。技術を伸ばす良い環境だ」という。

受け入れ課題

 課題もある。同法人は自治体や関係機関と調整しながら活動するが、新しい取り組みのため、現場の受け入れ体制が整っていないこともある。復旧活動を進める上での情報共有の仕組みがないまま受け入れてしまったり、チェーンソーは危険という印象で活動を拒否されたりと、対応に格差があるのが現状だ。

 端無さんは「過疎地域では高齢化で里山の手入れが行き届かず、山崩れなど災害のリスクが高い。全国で派遣人材を育成し、地域住民の生活を守りたい」と意気込む。(吉本理子)

日本農業新聞

最終更新:5/13(土) 7:01

日本農業新聞