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クロマグロ規制 長崎の離島漁業者に不満募る 漁獲枠見直し訴えも

長崎新聞 5/13(土) 9:53配信

 資源回復を目的とする太平洋クロマグロの30キロ未満の小型魚(ヨコワなど)の漁獲規制を巡り、対馬や壱岐など本県離島の漁業者が不満を募らせている。昨年7月から今年6月の今漁期は想定外の豊漁もあり、早々に操業自粛を迫られた。漁業者は漁獲枠拡大など規制の見直しを訴えている。

 クロマグロの資源量は1961年の16万トンが、乱獲などで2014年は1万7千トンまで減少した。日本を含む「中西部太平洋まぐろ類委員会」の国際合意に基づき15年、小型魚の漁獲量を02~04年平均の半分に減らす規制を導入した。

 国内漁獲枠は沿岸漁業で2007トン。九州、沖縄、山口7県の「九州西部ブロック」への配分は743・7トン。うち本県は全国最大の632・3トンで、海区別に対馬334トン、壱岐139トン、五島122トンなど。

 今期は西日本を中心に想定外の豊漁で早い時期から漁獲量が拡大。対馬市や三重県の一部の漁業者による規制違反が発覚したほか、「マグロを狙わなくても網に入る混獲もあった」(新上五島町若松漁協の椿山武安組合長)。県内では今年1月以降、県が上限量の消化率95%に達した海区に操業自粛を要請、3月6日には水産庁が九州西部ブロック全体に要請した=表参照=。五島市の漁業者は「上限までの残量をみてあと1回行けると思ったら突然、自粛になった」と明かす。

 「目の前にいるのに釣れず、混獲したら逃がさないといけないのはつらい」。対馬市漁協組合長会の部原政夫会長は肩を落とす。

 マグロ漁の承認を得た沿岸漁業の県内2503隻のうち対馬は875隻。高齢者が多く年収100万~300万円の人もいる中、例年に比べ1人数十万円規模の減収になったという。

 部原会長は休漁補償の拡充を訴える一方、資源減少は海区で管理する沿岸漁業より、全国管理で一度に取る量も多い大型巻き網漁など沖合漁業(漁獲枠2千トン)の影響が大きいとみて「巻き網で10キロ未満は取らないような規制も必要」と話す。県内漁業者からは夏場の産卵期の規制を重視すべきとの声も聞かれる。

 壱岐市勝本町漁協の大久保照享組合長も「今期はヨコワが多い影響で、逆に、他の魚やイカは逃げて釣れない」と頭を抱える。「壱岐では昔から漁業者主体で資源管理してきた」と語り、先に多く取った方が有利な「早い者勝ち」といえる現状の規制に不満を示す。

 全国漁獲枠は4月27日に上限を超えた。水産庁は漁獲枠を消化していない地域に配慮し、本県56・2トンを含む全国122・2トンの追加枠を設けたが、消化分は7月以降の次の漁期の枠から引かれる。

 国は次の漁期から悪質な漁業者への罰則も設け、漁獲規制を進める。今月下旬に各地域への漁獲枠の配分方針を示し、県は管理計画をまとめる。水産庁は配分について「極端には変えない。不公平感を抑えるため各海区で一人一人に上限を設けるような取り組みも呼び掛けたい」としている。

長崎新聞社

最終更新:5/13(土) 9:53

長崎新聞