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【学校のなぜ】全国から視察が相次ぐ「もくもく掃除」のメリットは?

西日本新聞 5/13(土) 7:20配信

 児童生徒が私語を慎み、黙々と掃除する「もくもく掃除」。福岡都市圏の小中学校では、そんな取り組みが広がっている。自分たちが使う教室なのだから、自分たちの手で集中し、隅々まできれいに。そこまでは分かるのだが、「黙々」まで掲げる必要があるだろうか?

⇒【画像】トイレを1人で掃除する男子児童。大江小の「自問清掃」

教室はクラスの秩序を映す

 福岡市博多区の市立吉塚中学校では毎日、朝の会終了後の午前8時半から15分間、生徒たちが教室や廊下の「もくもく掃除」に当たる。4月19日、2年1組の様子を見た。

 主に男子が机といすを移動。ほうきで掃いた後、女子が膝を床につけ、ぞうきんがけを始めた。黒板を丁寧に消す生徒もいる。本当に黙々だ。

 担任の手嶋将人教諭(31)は時折、ある男子に小声でささやいていた。後で聞くと、転校生だった。終了後は改善点を挙げる「反省会」。前日は一部に作業の遅れがあったが、その日はテキパキと進み、「あすも頑張りましょう」で終わった。

 「掃除の時間って、まじめが輝くんですよね」。手嶋教諭がつぶやいた。なるほど、授業では、勉強ができる生徒が輝きがちだが、生徒同士がそんな姿勢を学び合う時間でもある。

だから集中して丁寧に

 手嶋教諭は4年前、吉塚中に着任。実は当初、この黙々スタイルに戸惑った。

 というのもそれまで5年間、京都府の中学校に勤務。1学年4クラスの同規模校で、掃除の時間は放課後の15分。「作業を怠らず」の前提ではあるが、「和気あいあい」の自由会話スタイルだったからだ。「日頃あまり話せない生徒と話せる時間。それが掃除の時間でした」

 なぜ、この学校では黙々なのか。やがて、手嶋教諭にもその背景が見えてきた。

 吉塚中ではかつて、昼休みに掃除をしていた。朝に変更されたのは2007年。同校では当時、学級崩壊が相次ぎ、掃除もままならなかった。学校再生に向け、新たに着任した当時の校長が始めた取り組みの一つが「朝のもくもく掃除」だった。

 教員自らが早出して、黙々と掃除に当たる。その背中を見て、生徒たちも変わり始める。始業前の朝が変わると、学校も少しずつ再生に向かった。

 「教室はクラスの心や秩序を映す。教室の床にごみが落ちていて、拾おうとしない生徒に、学びは始まらないですからね」(現在の坪井憲治校長)。学校再生のモデル校として、今は全国から視察が相次ぐ。

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最終更新:5/13(土) 11:23

西日本新聞