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キャンピングカーの運転を考える

朝日新聞デジタル 5/13(土) 11:14配信

【キャンピングカーで行こう!】

 楽しかったゴールデンウィークも明け、みなさん社会復帰できてますか?

 訳あって私はこのゴールデンウィークのお出掛けはままならず、SNSなどでキャンピングカー仲間があちこち出掛けて楽しんでいるのを、指をくわえて眺めていました。みなさんの書き込みは楽しい報告がほとんどなのですが、中には「タイヤがバーストした」とか「横転しているキャンピングカーを見た」なんて残念なトピックも飛びこんできます。そこで今回は、あらためてキャンピングカーと運転について考えてみたいと思います。

【写真】トレーラーけん引時はとにかくスピードに気を付けること!

難しくはないが配慮は必要

 キャンピングカーショーなどでよく聞かれる質問があります。「キャンピングカーの運転って、難しいんでしょうか」、「横転する率が高いって、本当ですか?」。非常にシンプルな質問ですが、これらの疑問についてお答えするなら、こうです。

 難しくはありません。しかし、配慮は必要です。

 キャンピングカーは、各ビルダーが安全性に配慮して設計、製造している製品です。ナンバーがついている、ということは、国(国土交通省)の厳しい基準を満たしていることの証しでもあります。一部の大型キャンピングカーを除けば、ほとんどの車両が普通免許で運転することができます。

 では、普段の生活で乗っているような普通乗用車と同じ感覚で運転してもいいのでしょうか? それは、違うと思います。では、何がどう違うのか。どう配慮しなくてはならないのでしょう。

キャンピングカーを理解しよう

 ご存じのとおり、姿形も、クルマとしての成り立ちも、普通乗用車とはまったく違うのがキャンピングカーです。安全に運転するには、特性を理解しておくことが大切です。

■飛ばせるクルマではない

 キャブコン(トラックなどの運転席〈キャブ〉を残し後部を架装した車両)にせよ、バンコン(ワンボックスバンなどをベースとした車両)にせよ、キャンピングカーのベース車両によく使われるタイヤの「速度記号」は、ほとんどが「L」です。速度記号とは、規定の条件下でそのタイヤが走行できる最高速度(=能力)のこと。速度記号は指数で示され、Lとは120Km/h。ちなみに、乗用車のタイヤの場合は軽自動車でも「S」で、Sの最高速度は180Km/hです。

 最高速度120Km/hと聞いて、十分だと思われるかもしれません。確かに、日本の高速道路の速度規制では十分ではありますが、深夜、すいている高速道路ではどうでしょう。明らかに120Km/hを超えるスピードで飛ばしているキャンピングカーに遭遇することもしばしばです。

 限界は限界であって、決して勧められるものではありません。タイヤの速度記号が示す通り、そもそも、飛ばすクルマではないのです。

■重心が高い

 ではなぜ、もっと最高速度設定の高いタイヤを履かせないのか。それは、「履かせられない」からです。

 理由はいくつかありますが、まず第一に言えることは「重心が高い」こと。キャブコンはもちろん、バンコンであっても、普通乗用車に比べれば、かなり重心が高めであることは、形状を見てもお分かりになるでしょう。例えば、高速道路のインターチェンジに、乗用車と同じ感覚で合流のカーブへ突っ込んでいったらどうなるか。危険であることはお分かりでしょう。高い重心で強い遠心力が働けば、それだけふらつきますし、最悪、横転の危険だってあります。実際、キャンピングカーの横転やオーバーランなどのトラブルは、合流地点などのカーブでよく起きているのです。

■重量が重い

 重心だけではありません。重さそのものも、乗用車とは比べ物になりません。限りなく装備の少ないタイプの商品でもない限り、キャンピングカーには生活空間のための架装が施されています。中にはビルダー出荷時にはなかった家庭用エアコンや電子レンジ、発電機や大容量サブバッテリーなどを追加装備しているクルマも。そこに旅の荷物や遊び道具、そして人間が加わるのですから、重たいのは当然です。

 重量が重いと、加減速、カーブ、上り坂、下り坂すべてにおいて、マイナスのファクターです。そして、こうした特性は、タイヤにとっても、決して優しい労働条件とは言えませんから、よりこまめな点検が必要になるというわけです。

■トレーラーは速度に注意

 トレーラーの場合も、ひとごとではありません。引いているクルマのパワーに余裕があると、ついついトレーラーを引いていることを忘れてスピードが上がりがちに。速度が上がると、トレーラーが不安定になり、やがてトレーラーがヘッド車を振りまわすような「スネーキング」という現象が起きやすくなります。トレーラーを引いた状態では、車種にかかわらず高速道路での制限速度は80km/h、くれぐれもスピードは控えめに。

 キャンピングカーは決して危険なクルマではありません。しかし、これらの特性を十分に理解した上で、適切な運転を心がけるのが、安全な旅への第一歩。連休明けの今こそ、夏休みに向けて、タイヤの点検や無駄な積み荷がないかどうかのチェックをしておきたいですね。

(文 キャンピングカージャーナリスト・渡部竜生 / 朝日新聞デジタル「&M」)

朝日新聞社

最終更新:5/13(土) 11:14

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