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全国トップ『あまおう』農家、後継者不足 福岡県が栽培規模の拡大や支援に本腰

西日本新聞 5/13(土) 9:20配信

 全国区の人気を誇る福岡県産ブランドイチゴ「あまおう」に、生産者の後継者不足がのしかかり始めている。県によると、現役の農家と一緒に後継者も生産に携わっている割合は全体の約1割。昨季まで12年連続で1キロ当たりの販売単価が全国1位というトップブランドを守るため、県は後継ぎ対策や栽培面積維持に力を入れだした。ただ、農家には労力に見合う収益の確保を望む声が強く「消費者へのアピールに力を尽くして」との声が上がる。

 県の調査によると、2015年にあまおうを栽培する農家1597戸のうち、中心的な担い手が65歳以上の農家は593戸と37%に上る。高齢化に加え、子どもなどの後継者が一緒に従事しているのは全体の11%に当たる179戸で、農業の後継者不足はあまおうも例外ではない。

リタイアした優秀な元生産者を派遣

 生産農家数自体も、15年までの10年間で約380戸減少した。栽培面積は336ヘクタールで、10年間で56ヘクタール減った。県によると、栽培面積とともに出荷量が減り、消費者が目にする機会が減ると市場での評価が下がる恐れがあり、価格維持のためにも栽培面積の維持が不可欠という。

 このため県は、既存あまおう農家の栽培規模の拡大と新規就農支援に本腰を入れ始めた。17年度は新規事業として、広い栽培面積を持つ集落営農法人を対象に、高齢でリタイアした優秀な元生産者を派遣。作付けを指導する。

 あまおうを含む園芸作物を栽培する農家のビニールハウス整備への補助制度や、新規就農(作物の条件なし)する若者への研修資金も用意。「ハードとソフトの両面から農家を支援する」と県担当者は話す。

「“高級フルーツ”としての評価はまだないのでは」

 ただ、田川市で14アールを作付けする川上晃司さん(33)は「現役の農家の子どもが後を継ぐのが栽培面積を維持する近道。それには何よりも単価が大切」と強調する。

 あまおうは株を植えてから最初の収穫まで1年以上掛かるなど、栽培に手間が掛かる。深夜に及ぶ選果やパック詰めなど多くの手作業もあるが「職人の手から生み出される“高級フルーツ”としての評価はまだないのではないか」と言い、むしろ県などに消費者へのPR強化を求める。

 あまおうはシーズン終盤を迎えた今季も販売は好調だが、栃木県など他県もブランド品種を出しており競争は激しい。県は「今のうちに手を打ち、首位の座を守りたい」としている。

=2017/05/12付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞社

最終更新:5/13(土) 9:20

西日本新聞