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復曲の能「吉備津宮」初披露 岡山・後楽園で能楽師・林さん舞う

山陽新聞デジタル 5/13(土) 23:35配信

 観世流能楽師の林宗一郎さん(37)=京都市=が3年かけて今春復曲した能「吉備津宮(きびつのみや)」が13日、後楽園能舞台(岡山市北区)で初披露された。吉備津彦命(きびつひこのみこと)が鬼と恐れられた温羅(うら)を退治した吉備津神社(同吉備津)の縁起が主題。自らシテ(主役)を務め、愛好家ら約360人を古代吉備の世界へといざなった。

 中世に成立した曲とされ、同神社にまつられている岩山の神扮(ふん)する老人の語りと、同神の舞で構成。老人が縁起を語る前半、林さんは吉備津彦がコイの姿で逃げる温羅をつかまえる動きなどを熱演。岩山の神が天下泰平(たいへい)を祝う後半は、力強いお囃子(はやし)や掛け声に合わせて荘厳に舞い、観客を魅了した。大蔵流狂言師の田賀屋夙生(はやお)さん=笠岡市=らによる間狂言(あいきょうげん)では、軽妙な掛け合いや所作で鳴釜神事をユーモラスに演じた。

 岡山で能を指導する林さんが、地元に縁がある演目を増やそうと廃曲をまとめた書物から探し出した。せりふに当たる謡曲を手掛かりに、能楽研究者の松岡心平・東京大教授=岡山市出身=の監修で復曲した。

 同神社に度々参拝するという女性(72)=福山市=は「岩山の神の登場シーンに鳥肌が立った。なじみの人物や地名が出てくるので、親しみを感じます」と話した。

最終更新:5/14(日) 0:29

山陽新聞デジタル