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卒業までに平均5-6種の資格を取得する工業高校の秘密

5/13(土) 20:05配信

ニュースイッチ

岩手県立水沢工業高校に根付く「朝学習」の伝統

 資格試験に力を注ぐ岩手県立水沢工業高校は、生徒が卒業までに平均で5、6種の資格を取得する。合格率が1割以下の難関試験「第三種電気主任技術者試験(電験三種)」に合格する生徒や、2年生で二級技能士に合格する生徒を輩出している。こうした成果を上げる大きな理由は「朝学習」にある。

 同校では始業前の約1時間を資格の勉強に充てる。通称“0時限目”だ。時期や学年に応じて勉強する内容はさまざまで、教員もサポートする。入学式の翌日から始めるため、南舘秀昭校長は「生徒たちも覚悟して入学してくる」と明かす。

 取り組みを始めたのは2011年度のこと。「D(ドリーム)プロジェクト」がきっかけだ。全学科の1年生全員と2、3年生の希望者が第二種電気工事士試験などを受験するもので、初年度に130人以上の合格者を出した。3年間実施しプロジェクトが終了した後も朝学習の伝統は残った。

 こうした努力もあり、電気工事士試験以外の合格者も急増した。例えば、10年度以前はボイラー技士2級試験に2年に1人の合格者を出す程度だったのが、16年度には3年生の受験者10人全員が1級試験に合格するほどに。同校にはビルなどの地下にあるボイラ設備を再現した教室があり、実際の作業に近い形で学習できることも合格者増加に寄与している。

 滝田勝設備システム科長は全学で資格試験に挑戦するようになった理由について、「自分で学ぶ力を身に付けてほしかった」と話す。資格取得を目標にすることで勉強のモチベーションが上がり、卒業後も継続して自学自習できる人材を輩出するのが本当の目的という。実際、朝学習だけでは合格には不十分なため自宅での研さんが必要であり、こうして身につけた「学ぶ習慣」は卒業後も大いに役立っている。

 朝学習は出席率の上昇にもつながった。同校生徒はおよそ7割が皆勤賞。真面目に勉強し、手に職をつけられる高校として地域におけるブランド力も向上した。

 今後も朝学習を続け、南舘校長は「資格取得率や生徒の満足度で日本一の工業高校を目指す」と意気込む。

【高校データ】
◇校長=南舘秀昭氏◇所在地=岩手県奥州市◇学科構成=機械科、電気科、設備システム科、インテリア科◇生徒総数=416人◇主要設備=マシニングセンター(MC)、旋盤、フライス盤、CADなど◇主な進路=東北電力、トヨタ自動車東日本、三菱重工業相模原製作所、デンソー岩手、東京都職員、東北学院大学、岩手県立大学など

日刊工業新聞仙台支局・田畑元

最終更新:5/13(土) 20:05
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