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学校生活に不満抱く人物か 県内など学校史切り取り被害

5/13(土) 7:29配信

北日本新聞

■閲覧の自由…公共物保全…図書館は対応苦慮

 小中学校や高校の学校史や記念誌が切り取られる被害が12日までに、富山県など16県の公立図書館で確認された。いったい誰が、何のために―。専門家は学校生活に不満を抱く人物や、模倣犯による可能性を指摘。図書館は公共物の図書を守ることと、閲覧の自由との間で対応に苦慮している。

 「本が順番通りに並んでいない」。4月28日、岐阜県図書館の郷土資料コーナーを整理中に異変に気付いた司書が学校史を開くと、10冊計134ページが切り取られていた。

■集合写真
 3日後には岐阜市立中央図書館でも被害が判明した。その後東海や北陸地方を中心に、東北や四国、九州地方でも発覚。富山県では、県立図書館をはじめ、富山市、同市大沢野、滑川市、上市町の各図書館で計12冊80ページの被害が見つかった。

 福井県立図書館では93冊786ページと被害が大きかった。多くの図書館で主に狙われたのが、生徒の集合写真や学校行事の様子を撮影した写真。刃物でページごと切り取られたり、一部が破られたりしていた。貸し出しをせず、館内だけで閲覧する決まりのケースが多かった。器物損壊容疑で警察に被害届を出した図書館もある。

■罪悪感なし
 事件の背景は何か。関西福祉科学大の相谷登教授(犯罪心理学)は「学校生活に良い思い出がなく、学校に恨みを持つ人は多くいる」と指摘。被害を報道で知った複数の模倣犯が出ている可能性を挙げる。学校史は関係者以外が閲覧する機会が少ないとし「罪の意識が生まれにくい。面白がって犯行に及ぶ人が増えたのだろう」とも推測した。

 ただ被害時期がはっきりとしないケースが多く、かなり前に切り取られていた疑いもある。

■バランス
 「知る権利」に応える役割を担う図書館は、対策の難しさを口にする。来館の事実やどんな本を読むかの情報はプライバシーに関わり、図書館は利用者の秘密を守るのが原則だ。68冊が傷つけられた愛知県図書館は屋外には防犯カメラを設置しているが、館内にはなく、現在は警備員の巡回を増やした。

 2冊の被害があった富山県立図書館はカメラを一切設置しておらず、今後も設けない方針。被害時期の特定が難しく、被害届も出さなかった。

 澤村修副館長は「できるだけ多くの資料を提供するのが公共図書館の使命。監視されていると、市民は気持ちよく利用できない」と指摘。「マナーの啓発など、やれることから始めたい」と、5月10日から貸し出し時の伝票に「図書を大切に」と印字する対応を始めたという。


■新たに7県で被害
 図書館で学校史や記念誌の切り取りが相次いで見つかっている問題で、12日にも岩手、宮城、栃木、神奈川、静岡、福井、佐賀各県の図書館で新たな被害が判明した。

 各自治体や施設によると、盛岡市立図書館では、中学校と高校の記念誌計2冊に手で破ったようなあとがあった。宮城県図書館(仙台市)では小学校の記念誌2冊が数ページずつ刃物のようなもので切り取られていた。

 福井県の五つの図書館でも新たに学校史16冊計409ページが切り取られていたことが判明。

 佐賀市立図書館では76年に発行された市立小の創立100周年記念誌で、28ページ分が切り取られていた。

北日本新聞社

最終更新:5/13(土) 7:29
北日本新聞