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半年荒く使っても問題ないFitbit「Charge 2」はひとつの到達点

アスキー 5/14(日) 12:00配信

Charge 2は温泉につかっても問題ないです。ただし真似はしないように。
 Fitbitの「Charge 2」という活動量計。すっかり使っているのを忘れて半年経っていた。存在を忘れていたのは、決して影が薄かったからではない。これはウェアラブルデバイスが目指すべき到達点のひとつであるはずだ。
 

 Charge 2は、光学式心拍センサー内蔵のリストウォッチ型活動量計で、去年の秋に発売された。価格はAmazonで1万8097円(5月12日時点)。私はこれを2016年10月17日から、今日に至るまで半年以上使ってきた。そして以後も使い続ける。
 
 ウェアラブルデバイスは、本質的に身体機能と一体化する方向の技術であり、装着していることを意識させるようでは、まだ技術として未熟なのだと私は考えている。たとえば自身の内臓機能があなたの人生にどのような価値を与えているのか答えなさいと言われても困ってしまうように、私はFitbitの存在を忘れていた。ゆえにそれは完璧に近く機能していたと言えるのだ。
 
 しかるにそうした空気のような存在というのは失ってみなければ価値がわからない。幸か不幸か、その価値にやっと気づいた。つい最近のことだ。ベルトがハゲてきたのだ。ここが、こんな感じで。あららららー。
 
 健康や家族のような存在は問題が起きて、はじめてそのありがたみに気づく。私も半年目にしてやっと気づいた。そこでCharge 2がどんな風に素晴らしかったのかを考えることにした。
 
 まず、以後も使い続けるためには、この劣化の始まったベルトをどうにかしなければならなかった。
 
素晴らしい理由その1 半年経っても現行機種
 本体とベルトの双方に嵌合式のマウントが付いて、ベルトは着脱式で簡単に交換できる。カメラの安い交換式レンズなどは、こういうところがプラスチックだったりしてゲンナリするのだが、これは最新のデジタルガジェットながら、ちゃんと金属製だ。しかもつや消しで質感もよく、カチッとハマる感触が実に素晴らしい。用もないのに何度も着脱を繰り返してしまった。
 
 これは、おそらくメーカーでオプションを用意しているに違いない。ということでAmazonを検索してみたら、サードパーティー製の交換ベルトが山のように売られていた。
 
 Apple Watchの登場以降、激戦状態にあったリストウォッチ型活動量計の世界において、Charge 2が勝ち残ったことを意味する。なにしろ半年経ったいまも現行製品として売られているのだから、これは驚くべきことだ。
 
 毎日使い続けてストレスにならないか、耐久性はどれくらいか、バッテリーの充電は面倒ではないか。うっかり傷をつけたり、デザイン上の不具合で衣服にダメージを与えたりしないか。活動量計の機能は、生活の中である程度長い期間使ってみなければわからない。
 
 ところが2ヵ月、3ヵ月と使っているうちに、大抵の機種は製造中止になってしまい、下手をするとメーカーごと消えている。長期テストをしようにも、記事にする頃には製品が市場に存在しないこともままある。消えた製品に向かって「だからお前は売れなかったのだ」と言ってみても、死者に鞭打つようなものであり、また結果論でしかない。
 
 しかし、これもまた結果論なのだが、一般的に言って製品寿命が長い理由は、製品として優れているからにほかならない。批評性を欠いた切り口で誠に申し訳ない。では逆に、なにが商品寿命を縮めるのか。
 
素晴らしい理由その2 生活防水
 理由のひとつは、本人の意志とは関係のないところで、本人の意志に沿わない操作を強いられることだ。最たるものが、製品側の事情でデバイスを外さなければならないときだ。活動量計が自らの機構的制約からユーザーに外すことを強いるのは、活動量計としての自己否定である。なぜならその間、活動量を計測できないのだから。
 
 まず防水機能がないもの。これは論外である。防水でなければ水に近づくたびに外さなければならない。人体の過半は水で構成されていて、常に水を必要としているというのに、どうして水に近づくなと言えるのか。水に近づくのは生命活動ではないというのか。
 
 この点でも、Charge 2は生活防水ということで、ひとまず得点が与えられる。ところで防水性能について、メーカー公式の説明ではこのようになっている。
 
 “Fitbit Charge 2 は、防汗、防雨、防沫性となっていますが、デバイスを着用して、泳いだり、シャワーに入ったりすることはできません。着用可能なデバイスでは、バンドをきれいで乾燥した状態に保つと皮膚にもベストな状態が保てます。”
 
 要するに「風呂やプールには入るな。あとたまには外してキレイにするのもいいもんだぞ」ということである。
 
 普通に使い、生活していれば、水で活動量計がダメージを受けることはない。メーカーがそう言っているのだから、善良なユーザーのみなさんは必ずそうしていただきたい。
 
 しかし私は、なかばあらさがしをするための悪意を持ったユーザーでもある。どの程度まで水にたえられるのか、自分の日常生活の中で試してみるのは当然のことだ。繰り返すが、善良なユーザーのみなさんは、次に書くようなことは、決して真似しないでいただきたい。
 
 まず私は、いきなり装着したまま風呂に入った。そして水深にしておよそ30cmくらいは、ほぼ毎日お湯に沈めていた。しかも装着したままボディーソープでジャブジャブ洗ってバスタオルで拭ってそのまま、という使い方を繰り返した。これはいまに至るまでなんの支障もきたしていない。
 
 さらに調子に乗って、登山が趣味の私は、下山後にアルカリ性やら酸性やらの各種温泉に、そのままジャブジャブと入っていった。これもいまに至るまでなにも起きていない。
 
 Charge 2は私の日常生活ごときに屈することはなかったのだ。繰り返すが、善良なユーザーのみなさんは絶対に真似しないでほしい。温泉にジャブジャブという使い方は、冒頭のベルトの劣化に影響を及ぼしている可能性も否定できない。それに私は泳げない。だからプールには入っていない。ゆえにCharge 2は、いまのところ私の座高より深く沈められてはいないという点にも考慮いただきたい。
 
素晴らしい理由その3 持続時間5日間のバッテリー
 というわけで、私は充電時以外にCharge 2を外さずに済ませてきた。頻繁に充電が必要な活動量計はダメだ。毎日充電しなければならない腕時計型のアレなどはまったくもって、以下省略である。
 
 Charge 2のバッテリーの持続時間は5日間。チャージに2時間もかからない。が、その間私はライフログ的には死んでいる。これには不満もないではなかったが、すぐに肯定的に考えられるようになった。
 
 それは同時にGARMINの活動量計「vivofit 2」を使ってきた経験からだ。このGARMINのデバイスは、バッテリー消費の大きな光学式心拍計を搭載していない代わりに、ボタン電池式でバッテリー寿命1年を実現している。防水性能もGARMINらしく水深50mまで耐える。最低1年は機器側の都合で外す必要はないのだ。完璧だ。
 
 かといって外さずにずっと着けっぱなしだとどうなるか。詳しい描写は避けたいが、要するにバイオハザード的な状況を呈してくる。これはいくら毎日お風呂でじゃぶじゃぶ洗ってもダメだ。
 
 だからCharge 2の5日間隔のバッテリー充電というのは、このバイオハザードを防ぐためと考えれば、納得できる頻度なのではないか、という気がしてきたのだ。
 
 しかし、欲を言うなら、もう少し長く持って欲しい。もし7日以上バッテリーが持てば「毎週◯曜日は洗って充電する日」というように、わかりやすいスケジュール設定ができる。5日ごとだと、年や月の日数がコロコロ変わり5で割り切れないような世界では、どうしても覚えにくいスケジュールになってしまうのだ。
 
素晴らしい理由その4 ルーズに締めててもかまわない心拍センサー
 バッテリー充電の手間があるのに、わざわざCharge 2を選ぶのは、心拍計を使いたいからである。これによりエネルギー消費量の推定精度が上がる。
 
 この心拍センサーはルーズに締めても計測しているのが素晴らしい。光学式だから皮膚から離れて光が入り込んでしまうとアウトだが、ちょっと接している程度でも計測している。キッチキチに締めないと測れないものでは、結局センサーと皮膚の接触部分がかゆくなってきて、長い時間着けていられない。でも、Charge 2は寝ている間も着けていられるし、違和感も最小だ。
 
 もちろんゆるゆるな状態だと、たまに欠測が起きる。でも、いざ気合を入れてエクササイズに及ぶ際には締め直せばいいのだ。
 
 心拍センサーと加速度センサーを使って、運動状態を自動認識する機能もある。私の普段の運動といえば、歩くか、自転車に乗るかのどっちかでしかないが、正確に検出してトラッキングしているのが驚きだ。
 
 ただ自転車の場合は、運動状態を認識はしても、その間の加速度センサーの揺れを歩数としてカウントしているところが、若干ヌルい。自転車で走っている状態を正確に記録したい場合は、リストウォッチ側から運動の内容を指定して計測する手もある。
 
 なお、人類がする運動の内もっとも重要で比較的頻度の高いセックスは自動検出項目に入っていない。これだけ正確に加速度と心拍から運動を割り出すのだから、ああした単純な動きは簡単に認識できるはずなのに、検出項目に入っていないということは、いろいろと、まあ、なんというか、推して知るべしである。
 
 数少ない欠点も挙げておこう。OLEDディスプレーが明るすぎることだ。Charge 2のディスプレーは、Apple Watchなどと同様に、手首をくるっと回してディスプレーを目に向けると表示がオンになる。加速度センサーを使った便利機能だが、これが布団の中では仇となる。
 
 寝返りを打った際など、目の前で白くまばゆい光を放つ異常ななにかを目撃することになるのだ。最初の頃は、すわ宇宙人の襲来か核戦争かと、いちいち飛び起きていたし、ボタンを押さないとディスプレーが点灯しない安眠モードくらい欲しいよな、とも思っていたが、もう最近はすっかり慣れてしまっていて、夜なにかが白く光っても気にすることなくぐっすり眠れている。おかげで宇宙人も核戦争も、もうちっとも怖くなんかない。
 
 そんなわけで、FitbitのCharge 2、オススメです。
 
 
著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)
 
 1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ
 
文● 四本淑三

最終更新:5/14(日) 12:00

アスキー