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日本人はお金の話が苦手?漫画家かっぴーさん「儲かった話はしづらい」

5/14(日) 11:10配信

ZUU online

超長寿社会を前に、私たちの働き方、お金との向き合い方は大きく変わっていこうとしています。にもかかわらず「お金のことを語るのは、なんとなくカッコ悪い?」という風潮はまだ残っています。

そんな雰囲気を軽やかに変えていくことを目的としたイベントが、2017年3月22日、東京・青山で開かれました。人気マンガ家・かっぴーさんのトークを中心に、イベントで語られた「いま求められる『お金観』」や、「お金との付き合い方」をリポートします。

■漫画家かっぴーさん登壇

このイベントは投資情報ウェブメディア「FROGGY(フロッギー)」の主催。オープニングセッションでは、同サイトで『金子金子(かねこきんこ)の家計簿』を連載中の漫画家・かっぴーさんが登壇しました。

『金子金子(かねこきんこ)の家計簿』の主人公・金子金子ちゃんは、お金にきびしい27歳。連載では毎回、お嬢様、広告代理店の男、商社マン、合コンに参加した医者の金銭感覚を斬りまくります。「いったいこの娘は何者?」と思いきや、自分自身は超お嬢様でありながら、お金の真理を探究する「金勉家(きんべんか)」なのです。

作者のかっぴーさんは広告代理店やIT系企業を経て、2016年2月に「忙しく、遊ぶ。」を社訓とした「株式会社なつやすみ」を設立した経営者でもあります。

トークはSMBC日興証券の吉岡伸輔さんの進行で、FROGGYクリエイティブディレクターの大八木翼さんとの対談形式で行われました。

■「お金のことを知らない」は機会損失

「今日はお金のイベントですが、パーカーで来てしまいました(笑)。僕は普通に広告業界でデザイナーをしていて、たまたま描いた落書きが話題になって、マンガ家になりました。そしてたまたま、大八木さんに見つけていただいて『金子金子の家計簿』を描いています」とかっぴーさん。

大八木さんはかっぴーさんに連載を依頼したキッカケについて、「SNSでこんなに面白いものを描いているこの人は誰だ! とすごく気になって。投資だとかお金のことを考えるのって、難しい。そこでかっぴーさんにマンガを依頼したのです」と話します。

大八木さん自身、お金のことなど一切考えないで、「ただ仕事で面白いものを出しさえすればそれで評価されるはず、と信じて働いていた」といいます。しかし、お金のことを知らないことによって「すごい機会損失をしていた」ことに気付いたそうです。

■ 7割の人「お金の知識に自信がない」

お金や投資、とは一見遠そうなご経歴のお二人ですが、お金に対してどのように考えているのでしょう?

……とその話しの前に、「FROGGY」が実施した「人生100年時代のお金についての意識調査」の結果が紹介されました。調査は2017年3月に、20代~60代の男女625人を対象に行われました。

この調査から浮かび上がってきたのが「資産運用」がどこか「人ごと」であることです。回答者で現在、「資産運用」を行っている人は3割、3人に2人は、将来の資産形成プランがなく、7割はお金(貯蓄や投資など)に関する知識に「自信がない」と答えています。

「資産運用」したい人も、わずか2割にとどまっていますが、例外として、20代はその中でも「資産運用」に“意欲的”のようです。

■オトナの半数「お金の話をすることに抵抗感」

私たちは「お金についてみんなで話す」のが苦手でもあるようです。 結果では47.7%の人が「友人知人や家族と、お金の話をすることに抵抗がある」と回答、58.4%が「お金のことは、周囲に相談するより1人で考えたり調べたりすることが多い」と答えています。

さらには42.8%の人が「投資をしていること、投資を考えていることは周囲には話しにくい」と回答しています。

かっぴーさん、大八木さんも「お金の話はしますが、損しちゃった話のほうがしやすいですね」「『俺、100万円儲かった』というと、『嫌な奴』という感じがして言いづらい、ということはあると思います」とコメント。

■「人生100年時代」の不安はやっぱりお金

寿命が延びることで「人生100年時代」が到来するといわれています。教育を受け、就職し、家庭を持ち、引退という一方通行でなく、学びなおして別のキャリアを持つなど、人生のステージを自身で構築していくことが求められるといわれています。

こうした「人生100年時代」の考え方を「どのようなものか知っている」と答えた人は1割未満(6.4%)。「聞いたことがある」が3割(27.7%)と少数。しかし、その定義を知ると68.6%は「人生100年時代に不安を感じている」ことが判明しました。

不安の1位は「お金(収入源や貯蓄の問題)」(94.2%)やはりお金の問題が気になるようです。2位は「健康寿命」(88.6%)、3位は「仕事」(80.2%)でした。

■100歳までの老後資金は、1人5000万円

そんな「人生100年時代」の老後資金は? SMBC日興証券のシミュレーションでは、実際に老後に必要となる金額は1人約5000万円(※)となっています。

※ 夫60歳、妻55歳の夫婦世帯の1ヵ月の生活費を約27.6万円*1、妻一人の1ヵ月の生活費を約15.6万円*2、夫婦二人の期間を24年、妻一人の期間を13年*3と想定すると、老後に必要な総額は夫婦2人で約10,400万となる。SMBC日興証券がシミュレーション
*1 総務省「2015年 家計調査年報 高齢夫婦無職世帯の家計収支」
*2 総務省「2015 年家計調査年報 高齢単身無職世帯の家計収支」
*3 厚生労働省「2015年簡易生命表の概況」 男性60歳の平均余命は23.55年、女性79歳(夫の死亡)時の平均余命は12.54年

アンケートで「老後(60歳~100歳)に必要な資金額のイメージ」を聞いたところ、64.8%の人は実際に必要とされる金額と2000万円以上のギャップがありました。

■投資を始めるのに、年齢的に遅いということはない

この調査結果にはかっぴーさん、大八木さんも少し驚いた様子。「1人5000万円ですか。100歳までの老後資金を貯めるために、僕は一体何冊本を書けばいいんですか」(かっぴーさん)

ここで、老後資金については吉岡さんが補足します。「もちろん一気に貯めるのではなく、投資も視野に入ってきます。よく、コツコツと積み立て投資をすることの効果が語られますが、私は仕事で投資をしていて、ここしばらくの市況を見ていると、本当にその通りだなと実感しています。そうやって1つ成功体験ができると、勉強して次の投資をしてみようというモチベーションにもなりますからね」

かっぴーさんも、「僕も、遅すぎるかなと思いながら31歳でマンガを描き始めましたからね。投資を始めるのに、年齢的に遅いということはないのかもしれないですね」。

「全然遅くないですよ! 面白いデータがあって、アメリカ人の収入の25%は不労所得といわれています。日本人は11%。この差が結構大きいと思います。そこには投資に対する考え方や教育という背景もあって、難しいものを難しい顔をした人が難しく教えるのでなく、少しずつ意識を高めていくことも大切です。ですから、かっぴーさんのマンガのように、やわらかく、簡単に、とっつきやすく伝えていくのがいいかなあと思っています」と吉岡さん。

「かっぴーさんの『金子ちゃん』は、人々の金銭感覚についてとにかくダメ出ししていく。でもただ面白いだけでなく、いざというときのお金の大切さに気付く、はっとするセリフがあるんです。ポイントを貯めるなど意外と堅実ですし(笑)。こうしたところからお金を身近に感じていってほしいですね」という大八木さんのお言葉で、トークセッションは締めくくられました。

■セッション後はドリンク片手に懇親会も

オープニングセッションの後は、LIFE MAP,LLC代表でありファイナンシャル・ジャーナリストの竹川美奈子さん、家計再生コンサルタントでファイナンシャルプランナーの横山光昭さん、レオス・キャピタルワークス代表取締役社長であり最高投資責任者の藤野英人さん、明治大学情報コミュニケーション学部教授の友野典男さん、複眼経済観測所代表取締役所長の渡部清二さん(登場順)という豪華なスピーカーによる5つのセッションが行われました。

セッション後はゲストスピーカーや参加者同士が、ドリンク片手に交流を深められる懇親会も。21時を回っているのにもかかわらず、会場はクローズ時間まで熱気に包まれていました。

大好評に終わったイベントには早くも次回開催を望む声が多く届けられているとのこと。セッションの内容は今後YouTubeでも視聴可能です。(4月17日にチャンネル解禁予定)

お金の話をするのは、かっこ悪い……なんてことは全く感じさせないひとときでした。

阿部祐子(あべゆうこ)
出版社勤務(雑誌編集者)を経てフリーに。2009年CFP資格取得。社会、金融、ビジネス系記事、やさしい言葉を使ったファイナンス系の読み物などを手掛けています。

(提供:DAILY ANDS)

最終更新:5/14(日) 11:10
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