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熟練職員、岩を0.03ミリに つくば・産総研

茨城新聞クロスアイ 5/14(日) 6:00配信

岩石を新聞紙の半分以下の厚さに磨く-。顕微鏡で観察するための石の「薄片(はくへん)」を、産業技術総合研究所の「地質試料調製グループ」(つくば市)が作製している。専門の部署に熟練の職員らが集まり、「未解明の石の構造研究に役立ちたい」と精度を追求。新手法も編み出している。


かんらん岩の薄片を偏光顕微鏡でのぞく。含まれる鉱物が万華鏡のように青やピンク、緑に輝いて見えた。薄くすると光を通す鉱物の性質を利用し、構造を調べるために作られるのが薄片だ。

岩石を厚さ約1センチの小さな直方体に切り出し、表面を研磨機で磨いたらスライドガラスに貼り付ける。さらに厚さ約0・03ミリまで微妙に加減を調整しながら磨く。試料は傷つきやすく、薄く平らにするのには経験が要る。グループの職員4人は、高い技術が求められるものばかり年間約1500枚を作る。

「限りなく0ミリ近くまで削れます」と胸を張るのは「日本薄片研磨片技術研究会」会長も務める大和田朗さん(58)。22歳で産総研の前身組織に入り、薄片の部署に。「見て覚えろ」の世界で試行錯誤し、数年がかりで工程を覚えた。

工程では一般的に水や油を用いるが、一部の試料は湿るともろくなるため、これらを使わない「乾式」の開発に取り組み、2014年に特許を取得。ゲル状の鉱物「イモゴライト」の薄片作りに成功するなど、世界初の実績も上げた。

課題は技術の継承だ。大和田さんによると、薄片の技術者は国内に20人ほどで、後進の育成にも力を入れる。

平林恵理さん(40)は10代の頃に薄片作製のイベントで見た鉱物の輝きが忘れられず5年前、グループに入った。「天然の石はみな状態が違う。研究者のニーズに合った薄片を作りたい」と意気込んでいる。

茨城新聞社

最終更新:5/14(日) 6:06

茨城新聞クロスアイ