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プロ20年目の邂逅へ。札幌MF小野伸二が「感慨深い」と語る“好敵手”との長い年月を探る

GOAL 5/14(日) 12:07配信

日本サッカー界が誇る“天才”と“希代の司令塔”。果たしてプロ20年目の同級生が同じピッチに並び立つシーンは実現するのだろうか。

北海道コンサドーレ札幌が今季無敗の本拠地で14日に迎え撃つのは、首位奪取を狙う3位ガンバ大阪。好相性のホームゲームを前に、札幌MF小野伸二が札幌ドームで見せる強さとともに、5年ぶりの対戦となる“好敵手”のG大阪MF遠藤保仁について話してくれた。

清水商業高(現清水桜が丘高)から浦和レッズに加入した小野と、鹿児島実業高から横浜フリューゲルス入りした遠藤。ともに“ゴールデンエイジ”と称される1979年組(遠藤は同学年ながら80年の早生まれ)で、両選手とも高卒ルーキーだった1998シーズンに開幕スタメンの座を勝ち取った。

そんな二人のプロ初対戦は、98年3月25日に横浜国際総合競技場(現日産スタジアム)で行われた1stステージ第2節。この試合で小野は記念すべきプロ初ゴールをマークする。ペナルティアーク付近で後方からのスルーパスで受け、フリーの状態で相手GK楢崎正剛(現名古屋グランパス)のポジションを確認しながら右足で冷静に流し込んだのだ。

「よく覚えていますよ。当時は高校生からプロになって、開幕から試合に出させてもらって。開幕戦で同級生でライバルだった高原(直泰・ジュビロ磐田/現沖縄SV)がデビュー戦でゴールを決めていたので、ちょっと焦りじゃないけど、早く点を取りたいという思いがあったんです。だから運良く取れてすごく良かったなと」

あれから20年の月日が過ぎた。

札幌ドームで行われた前日練習後、再びJ1の舞台で遠藤と再会できることに関して小野に聞くと、「非常に感慨深いというか、長い年月を経て、僕も海外にいたりした中で、また日本でプレーをして、そういう選手と戦えることは非常にいい刺激になりますね」と目を細めながら答えてくれた。

二人は日本サッカー界に確固たるものを残してきた。99年にナイジェリアで行われたFIFAワールドユース(現U-20ワールドカップ)では、フィリップ・トルシエ監督の下でチームメートとして準優勝という偉業を達成。その後、小野はシドニー・オリンピック予選での大ケガを乗り越えてオランダへ主戦場を移すと、ヨーロッパの舞台で確かな輝きを放った。そして2006シーズンに浦和復帰を果たして日本凱旋。その初戦こそが遠藤との2度目の対戦だった。その遠藤は国内で第一線を走り続け、05年にリーグ初制覇を経験。07年以降は日本代表の司令塔として長く君臨し続、10年連続Jリーグベストイレブン選出という前人未到の記録を打ち立てた。長年の盟友、ライバルでもある遠藤のプレーを小野はこう説明する。

「若い時から一緒にプレーさせてもらっていましたし、代表でもずっと活躍していてテレビでも見ていました。彼の存在はチームにすごく落ち着きをもたらしてくれるし、敵になると相手の嫌なところを突いてくる。そういう戦術眼がすごい」

二人の直接対決を紐解いていくと、意外な事実が浮かび上がってくる。小野がオランダ、ドイツ、オーストラリアでプレーしていたこともあり、リーグ戦における両選手の対戦はわずか6度のみ。遠藤と対戦した記憶について小野は自身のプロ初ゴールを決めた98年の試合を挙げながら、「あまり対戦していないんですよね」苦笑い。ちなみに過去6度の対戦結果は小野の1勝3分け2敗。今回の試合は小野が清水エスパルスに在籍していた2012年4月22日以来、約5年ぶりに対戦するチャンスとなる。

今季ここまで明治安田生命J1リーグで15位と成績が伸び悩んでいる札幌だが、ホームの札幌ドームでは3勝2分けと無類の強さを見せる。それも相手にセレッソ大阪、FC東京、川崎フロンターレといった上位勢が含まれるのだから、この結果は決して“フロック”ではない。チーム全体でハードワークを怠らず、ボールを奪うやいなや鋭く相手ゴールに襲いかかる。そこに空中戦で抜群の存在感を見せる都倉賢を中心とした戦いでしぶとく結果を残してきた。小野が説明する札幌のスタイルはこうだ。

「うちの2トップには高さも強さもある。そこがボールを収めてからクロスボールでゴールを狙うのが主流で、手数をかけずに相手陣内に乗り込む形です。(札幌ドームでは)たくさんのファン・サポーターがスタジアム全体でいい雰囲気を作ってくれているし、選手たちの『ホームで負けたくない』という強い気持ちが融合されて結果につながっているんじゃないかな」

そして小野が「どの試合も同じですけど」と前置きしながら勝負のポイントに挙げたのが、先制点の行方だった。今季の札幌は先手を取った試合で2勝1分けと結果を残している。ガンバ大阪のサッカーを「相手の攻撃にはドリブル突破や高さなどバリエーションがある」と分析しつつ、「まずはしっかりチーム全体としていい守備をして、そこから速攻を仕掛けてゴールできたら、非常にいい展開になる」と予想する。

G大阪戦を控えた前日練習、ミニゲームで途中からフリーマンとなった小野は自陣での的確なサイドチェンジから長い距離を走って前線へ飛び出し、鮮やかな左足ボレーを決めた。得点後の笑顔からは調子の良さがうかがえた。

今季はケガで出遅れたこともあり、「痛みから解放されて徐々にコンディションが上がってきた。もう少し時間をかければもっともっと良くなる」と手応えを得ている様子だ。リーグ戦ではここまで4試合に途中出場。4月26日に札幌ドームで行われた大宮アルディージャとのYBCルヴァンカップでは、ゴール前に走り込んで左足で軽快に蹴り込み、今季公式戦初ゴールをマークしている。この日の動きも含めて、小野のパフォーマンスは確実に良化していると見ていいだろう。

ちなみにG大阪戦に向けて聞くと、「いい準備はできている。ベンチスタートかもしれないけれど、少しでも出られる状況があれば、いいパフォーマンスを出せるようにしたい」と話した一方、「自分が出ない状況のほうがチームが勝っているということなので、本当はいいことなんですけどね」と再び苦笑いを浮かべていた。

ホームで迎えるプロ20年目の感慨深い一戦。だが、小野が目指すのは、やはり北海道コンサドーレ札幌の勝利だけだ。

「全員が魂を込めて戦えれば、それがスタジアム中に伝わって、ファン・サポーターが一緒に戦ってくれるので、そういうものを目指してやっていきたい。明日は大事な試合なので、勝ち点3を取るためにたくさんの人が来てくれたら、それ以上のことはないですね」

明治安田生命J1リーグ第11節、ガンバ大阪との一戦は、5月14日(日)19時に札幌ドームでキックオフを迎える。ホームで勝利に執念を燃やすチーム、そして小野の思いを見逃す手はない。

取材・文=青山知雄

[プロフィール]
小野伸二(おの・しんじ/北海道コンサドーレ札幌)
1979年9月27日生まれ/J1通算182試合出場29得点

遠藤保仁(えんどう・やすひと/ガンバ大阪)
1980年1月28日生まれ/J1通算546試合出場100得点

[小野伸二 vs 遠藤保仁 リーグ戦全対戦]
1)1998年3月25日
J 1st第2節 横浜F 0-2 浦和@横浜国

2)2006年3月4日
J1第1節 G大阪 1-1 浦和@万博

3)2007年5月13日
J1第11節 浦和 1-1 G大阪@埼玉

4)2010年12月4日
J1第34節 清水 0-3 G大阪@アウスタ

5)2011年6月11日
J1第14節 G大阪 2-2 清水@万博

6)2012年4月22日
J1第7節 G大阪 3-1 清水@万博

※データはすべて2017年5月13日現在。

GOAL

最終更新:5/14(日) 12:07

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