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レイ・ダリオ氏が長期で悲観的な3つの理由 「経済危機は迫っている」

5/14(日) 12:00配信

ZUU online

「ヘッジファンドの帝王」の異名をもつレイ・ダリオ氏が、長期的な経済の展望に対して悲観的であることが、自身の発言から明らかになった。

ダリオ氏を不安におとしいれている3つ要因は、「不穏なまでに穏やかに見える世界経済」「政治的・社会的対立の拡大」「生産性の低下」だ。

■主要経済は短期債務サイクルの中盤

世界最大のヘッジファンド、ブリッジウオーターアソシエイツを率いるダリオ氏はLinkedInへの寄稿 の中で、3つの不安要素を挙げている。

まずは経済が絶好調のペースに達しているにも関わらず、「今後2年以内に生じうる主要リスクの気配がない」点だ。

ダリオ氏は世界経済を動かす3大原動力を、「一般的な事業や短期的な債務サイクル」「長期的な債務サイクル」「生産性」と定義し、財政政策と金融政策がこれらをコントロールしていると見ている。

現時点では主要経済は短期債務サイクルの中盤にさしかかっており、経済成長率は平均的。2008年の経済危機のような兆候は影も形もなく、総体的には安定しているということになる。

しかし長期的債務サイクルの展望に目を向けると、債務総額の膨張に加え、年金・医療・福祉といった非債務が経済を圧迫している事実が一気に浮上する。中央銀行にはこうした現状を修正する力はない。

■過去に例を見ない、経済と世界情勢のアンバランスさ

第2の不安要素は、「過去何十年間で最悪の規模にまで拡大した政治的、社会的対立」だ。ダリオ氏はこうした確執が、経済状況と隣接関係にあると確信している。

欧米で吹き荒れるポピュリズム、移民問題、内部紛争、テロ、格差社会など、世界平和を揺るがす脅威が、日に日に勢力を増している。それと共に、経済を脅かす要因も膨張していることになる。

「総体的な経済が好調であれば、世界情勢も安定している」というのが、従来のパターンだった。ダリオ氏が懸念しているのは、過去に例を見ないアンバランス感だ。今後さらに対立が悪化すれば、ますます不均等な状態が深刻化するだろう。

■デフレ緩和に成功した日本だが、債務規模は先進国最大

生産性の低下も、経済リスクに警鐘を鳴らしている。先進国の実質GDP成長率は、長期間にわたり低迷しており、ナウルやイラクなどの発展途上国が10%を超える成長率を示しているのに対し、米国、英国、ドイツ、日本といった経済大国は1%台にとどまっている(グローバルノート2016年データ )。

生産性の低下が、経済成長に歯止めをかけているのはいうまでもない。こうした現状では、大きな市場の上昇は期待できないだろう。

ダリオ氏は主要国の経済の行方に関する見解も示している。米国は短期債務サイクルの中期後半にさしかかっており、経済面ではある程度強い伸びが期待できる。しかし債務規模は拡大し、金利も金融危機以前とは比較にならないほど低いままだ。新政権による政治的・経済的影響も気になる。

長期債務サイクルの終盤を迎えているとされる欧州も、政治的基盤の変動が懸念される。長期間にわたる超低金利環境から脱出できず、経済面での強さを維持するドイツと、破たんの危機にさらされているギリシャといった加盟国間の格差が目立つ。

「マイナス金利を導入した日本は、デフレ緩和というひとつの初期目標を達成した」とダリオ氏は評価している。しかしまだまだインフレの上昇にはほど遠く、債務レベルも先進国中最も高い。欧州同様、長期債務サイクルの終盤にあるようだ。

これらの不安要素を冷静に考慮すると、「経済危機が延長線上に迫っていることは疑う余地がない」と、ダリオ氏は結論づけている。(アレン琴子、英国在住フリーランスライター)

最終更新:5/14(日) 12:00
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