ここから本文です

REITを所有する投資家が減少、Brexitが浮き彫りにしたREITのデメリットとは?

5/14(日) 12:10配信

ZUU online

昨年から欧米や日本のREITの動きが低迷している。米利上げ、Brexit(英EU離脱)、トランプ政権誕生などがネガティブ要因として挙げられているが、結局は高リスクな不動産信託の需要の低下が根本にあるのではないかとの見方が強い。

REIT人気に火がつきにくかった英国では、主要REITのアクティブ・ファンド所有率が、過去5年間で8.1ポイントも落ちこんでいる。REIT投資家は売り越しに傾いている。

■低迷するREIT 市場の動きに流されやすい特質がデメリットに

マイナス金利が追い風となって好調だったREITも、昨年春以降、低迷から抜け出せない状況が続いている。世界経済をゆるがす出来事が相次ぎ、市場の流れに変化が現れたにも関わらず、ETF(上場投資信託)自体は好調だ。その点を考慮すれば、おのずとREITの弱点が見えてくる。

そもそもREITは不動産投資と似て異なる商品だ。実際に不動産を所有するわけではなく、対象となるのはその不動産が生みだす利益のみである。メリットであるはずの流動性の高さは、市場の動き次第で大きなデメリットに変わりかねない。

極論的には、REITが倒産、あるいは上場廃止になれば、所有株はただの紙切れと化すリスクは避けられない。

■市場平均連動型の不動産系インデックス・ファンドは順調

近年、REITの弱みが最も顕著に表れた例として、Brexitが挙げられることが多い。確かにBrexit決定直後、UK REIT指数が約15%下落(Livechart.comデータ )したのに続き、ブリティッシュ・ランド、ハマーソン、ランド・セキュリティーズ・グループといった主要UK REITも20%から30%前後急落した。

しかしREIT失速の兆しはすでにその前から見えていた。2007年にREITを導入した英国では過去5年間で、主要REITのアクティブ・ファンド所有率が、33.3%から25.2%まで落ちこんでいる(ラドナー・キャピタル・パートナーズ調査) 。対照的に比較的リスクの低い市場平均連動型の不動産系インデックス・ファンドは、ほぼ2倍の伸びを見せたものもある。

元々英国ではREITを懐疑的に受けとめる風潮が強かったうえに、「Buy-To-Let(投資目的の賃貸用住宅購入)」人気と、2%の手数料などが、投資家を遠ざける原因となっていた。
政府が昨年土地印紙税を導入したことで「Buy-To-Let」の需要が一気に冷えこみ、REIT環境が好転すると期待されていたものの、Brexitの現実味が増すとともに不動産市場の基盤そのものが脆弱化した。

世界最大のヘッジファンド、ランスダウン・パートナーズは、Brexit決定翌月、ブリティッシュ・ランドの持ち株を5.8%にまで増やしたことが申請から明らかになっているが、今年2月には株価が頭打ちしている。

■不動産バブルが縮小し始めた英国でREITは生き残れるのか?

こうした流れから、REITアクティブ・ファンドからパッシブ・ファンドへ移行する投資家が増えているという。多くの投資家が市場にあふれかえる情報に過敏になっており、一括千金よりもリスクを極力おさえた手法を好む傾向が強まっている。

英国の不動産市場は確実に転機をむかえつつある。大手不動産サイト「Zoopla」のデータ によると、過去1年で総額290億ポンド(約4兆2823億円)相当価値が暴落したほか、今年1月から3月にかけてウェールズを除くすべての地域で最大0.6%の下落が見られる。

Brexitが投げかけた英経済の不透明性が下落を引き起こした原因のひとつであることは間違いないが、多くの労働者の手に届かないレベルにまでバブル化した市場自体が、自ら失速したというのが真相だろう。

REITの核となる商業不動産投資に関しては、ポンド安や物件不足が追い風になる との楽観的見解が、どこまで現実の世界で通用するかに左右されそうだ。商業不動産開発への投資は低迷しており、それが競争力を押しあげるか引きさげるかは、今後の動き次第だろう。

REITの低迷は英国だけではなく、日本や米国でも同様の頭打ちが見られる。主要投資家の売り越し傾向も、REITを縮小させている大きな要因のひとつだ。(アレン琴子、英国在住フリーランスライター)

最終更新:5/14(日) 12:10
ZUU online

Yahoo!ニュースからのお知らせ