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稀勢の里、左使えず“不安1敗”初Vからの3連覇に初日から黄信号

スポーツ報知 5/15(月) 6:04配信

◆大相撲夏場所初日 ○嘉風(押し出し)稀勢の里●(14日・両国国技館)

 横綱・稀勢の里(30)=田子ノ浦=が、黒星スタートを喫した。昇進後、初めて両国国技館での本場所に凱旋。小結・嘉風(35)=尾車=に一方的に押し出され横綱昇進後、大関以下の力士に初めて白星を献上した。生命線の左からの攻めは鳴りを潜め、テーピングで固めた左上腕部などに不安を残した。1937年夏場所の双葉山以来、80年ぶり4人目となる初優勝からの3連覇の偉業に黄色信号。15日間の出場にも暗雲が垂れ込めてきた。

 稀勢の里は諦めるように、静かに土俵を割った。発売からわずか90分の早さで完売した満員御礼の国技館で、初日最多の54本の懸賞金を集めた結びの一番に起きたいきなりの波乱。座布団は数秒後、思い出したように数枚が宙を舞うだけだった。正面の天井には除幕されたばかりの初、春場所の優勝額。その額にいる強い横綱の姿は土俵にはなかった。

 黒星を素直に受け入れざるを得なかった。東の支度部屋。普段は敗れると悔しさからほとんどしゃべらない男が珍しく多弁だった。「(左は)悪くないですよ。相手が強いから負けた。相手が上回っていた」。双葉山以来の初優勝からの3連覇を狙う上でも致命的な1敗。過去3人全員が初日白星発進しており、データ上は賜杯獲得へ厳しい状態になった。

 嘉風の強烈な右おっつけに左を差せない。下がった土俵際で苦し紛れの右突き落としも通じず、簡単に押し出された。「仮説を立てた。左が使えないなら右を使ってくる。こっちは両手を使えるんだから。(相手の)左に回った」と嘉風。「左が入れば腰が落ちる」と以前から強調していた八角理事長(元横綱・北勝海)は「緊張じゃない。体調だよ」と棒立ちの横綱の敗因を語った。

 春場所は顔をしかめながら受け取った賜杯を、この日は平然と返還したように見えたが、甘くはなかった。左大胸筋、左上腕部を痛めてから1か月半。場所前、本格的に相撲を取れたのは10日間ほど。異例の出稽古を繰り返し出場に踏み切ったが、「稽古場と本場所は違う? それもある」と厳しさを実感した。支度部屋で観戦した横綱・白鵬(32)=宮城野=も「(テーピング)してるしね。勝てばいいけど。これも横綱としての勉強」と心情をおもんばかった。

 「横綱の勝ち越しは12勝」と言われる通り、出場する以上は故障を抱えていても、成績が伴わなければ進退問題に発展するのが横綱だ。「また明日。切り替えてやるだけ」。くせ者との対戦が続く序盤戦。黒星が続けば休場に追い込まれても不思議ではない。(秦 雄太郎)

最終更新:5/15(月) 19:10

スポーツ報知