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都市部で庭をもつための効率的な方法とは

朝日新聞デジタル 5/14(日) 11:11配信

【本音のマイホーム】

 前職当時、カスタマーの住宅への意識調査したことがある。そのなかで、希望するマイホームはマンションか一戸建てか、を問う質問があった。調査は全国で行い、結果は一戸建て希望者が圧倒的に多く、実は地価が高い東京都においても一戸建て希望者が過半を占めた。

 一戸建てを希望する主な理由のひとつに「庭をもちたい」という願望が挙げられる。日本を代表するマンガ「サザエさん」の一家が住む一戸建てにも庭や縁側が描かれているように、一戸建てといえば庭があるのが当たり前のようなイメージを持つ人が少なくないだろう。

 しかし、地価が安価な地方はともかく、東京や大阪などの大都市圏においては、庭のある一戸建ては一般的なサラリーマン世帯には高嶺(たかね)の花といえる部類に入るのではないだろうか。というのも、都市部で標準的な価格帯の一戸建ては土地が数十平方メートルしかない狭小3階建てが多く、駐車スペースすら大型車をとめるには厳しいレベルだからだ。

 都心部から1時間前後の準郊外といえる地域でも、せいぜい土地が30坪(約100平方メートル)の2階建てという家が多い。その場合、狭小3階建てより駐車スペースは余裕ができるが庭と呼べるほどの庭はもてないのが現実だ。ちなみに筆者の自宅も準郊外の土地約30坪の2階建てだが、目隠しの植樹ができる程度の余剰地はあるが、お世辞にも庭と呼べるような広さはない。

 庭らしい庭がある一戸建てを手に入れるのは都市部ではハードルが高い。しかし意外かもしれないがマンションならそれが比較的安価に実現できる。都市部ではマンションの数が相対的に多くなるが、なかには1階に住人専用庭がつく住戸があるマンションも少なくない。専用庭といっても庭の土地は、権利上、共用部扱いで月々使用料を払うことになるが、それでも庭付き住戸なら庭らしい庭がある暮らしができることに違いない。

 そしてこの庭の土地が共用部であるということがミソなのだ。一戸建てで庭をもつには庭分の土地を買う必要があるが、マンションなら使用料を払えばいいだけだ。庭らしい庭の広さをおよそ10坪(約33平方メートル)とすると、庭付き一戸建てに住むには、坪50万円の地域なら500万円の土地代を、庭のために払う必要がある。しかし、マンションなら使用料が月々1000円として30年間住んでも36万円ですむわけだ。

 もちろん、マンションの専用庭は共用部なので使用にあたって一定の制約はある(勝手に植物を地植えできない等)。とはいえ、広々した庭がある暮らしを一戸建てより一桁安く手に入れられるのはきわめて効率的な選択といっていいだろう。

 さらに言えば、庭木は季節に応じて葉が生え伸びたり、枯れ葉が落ちたりするため手入れが必要だ。一戸建てはそれを自分でやるか自腹で業者に頼むことになるが、マンションの場合はあくまで共用部の庭木として管理組合が管理費から業者に委託して手入れしてくれる。

 新緑が美しい春~初夏は本来気持ちいい季節だが、筆者にとっては自宅の目隠しの植樹が必要以上に育つ季節であり、手入れの手間を考えると実は憂鬱(ゆううつ)な季節でもある。たかが目隠しの植樹でも、その管理は思いのほか面倒なのだ。庭がほしいという希望が軽い気持ちからきている人は、専用庭付きマンションを検討したほうが身のためだと、心の底から思う。

(文 エディター&ライター 山下伸介 / 朝日新聞デジタル「&M」)

朝日新聞社

最終更新:5/14(日) 11:11

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